約 3,515,481 件
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2369.html
いつもの風景 3KB 虐待-いじめ 野良ゆ 現代 他愛もない話 『いつもの風景』 D.O 「ゆぴゃぁぁああ!!れいみゅのあんよがぁぁあ!?」 「おちびちゃん、ゆっくりしてね!ぺーろぺーろ、ぺーろぺーろ!」 とある町の歩道で、母れいむと赤れいむの親子が泣き叫んでいた。 鋭い小石で赤れいむがあんよを怪我してしまったのだ。 怪我はかなり重症で、あんよは半分ほど裂けてしまっており、 餡子もトロリと流れ出している。 こうなってしまうと、母れいむのぺーろぺーろ程度ではもはや手に負えない。 母れいむは最後の希望、ゆっくりには不可能な事を可能にする、人間さんの手を借りるしかないと考えた。 「おねーさん!」 「ん、なぁに?あら、おちびちゃん、酷い怪我。大丈夫?」 運よく、ゆっくりしたお姉さんに声をかけることができたようだった。 「おねーさん、だいじょうぶじゃないよ!おちびちゃん、このままじゃえいえんにゆっくりしちゃうよ!」 「あら。大変だわ。早く手当てしないと。」 「おねーさん、はやくてあてしてあげてね!」 「・・・ん?なんで?」 「ゆ・・・おちびちゃんがけがしてるんだよ!?かわいそうなんだよ!」 「そうね。とっても痛そう。」 「かわいそうならゆっぐぢぢないでだずげでぇえええ!!」 お姉さんもその整った顔立ちに憐れみを浮かべ、赤れいむのもみあげをそっとなでる。 「ゆ・・・ゆぴぇ、ゆっくちさせちぇ・・・。」 「れいむちゃん。がんばってね。痛いだろうけど、がんばって!」 「ゆぴぅぅ・・・」 そしてお姉さんはすっと立ち上がると、去っていこうとした。 「お、おねえざぁぁあああん!!どうぢでいっぢゃうのぉぉぉおお!?」 「ごめん私、もう行かないと・・・。」 「ゆぁああああぁぁぁぁ!?」 「辛い事もあると思うけど、れいむもがんばってね!」 お姉さんはギュッと握りこぶしを作りれいむの顔の前に掲げると、 『がんばれ!』というようにこぶしを2~3回揺らし、そしてそのまま去っていった。 「ゆ、どうぢで・・・」 「ゆぴ・・・ゆ・・・」 「おぢびぢゃぁぁああん!!」 だが、ここで諦めてはおちびちゃんは助からない。 母れいむは気を取り直して、おちびちゃんの方を向いて辛そうな顔をしている、 ゆっくりできそうなお兄さんに声をかけた。 「おにーざん!!おぢびぢゃんをだずげでぐだざい!!」 「うぅん、これは痛そうだな。かわいそうに・・・。」 「おぢびぢゃんは、とっでもゆっぐぢした、かわいいおぢびぢゃんなんでず!だずげでぐだざい!」 お兄さんは、赤れいむの苦しそうに汗ばんだ額をなでてやりながら、 ゆっくりとした声で語りかける。 「なあ、チビれいむ・・・」 「ゆぴぅ・・・ゆぴゅぅ・・・?・・・」 「痛みなんかに、負けるなよ。」 「・・・ゆ?・・・」 「精一杯ゆっくりするんだ。お前ならできる!がんばれ!」 そういって、とてもゆっくりしたお兄さんは去っていった。 「どうぢで・・・どうぢで、だれもだずげでぐれないのぉぉおお!?」 答えは返ってこなかった。そして・・・ 「も・・・ぢょ・・ゆっくち・・・しちゃ・・かっちゃ・・・」 「ゆぁああああ!おぢびぢゃん!おぢびぢゃぁぁあああん!?」 赤れいむは、出餡多量で、誰からも治療を受けることなく、その短い生涯を終えたのであった。 「ゆぁぁあああ!?なんでぇええ!?ゆっぐぢぢでだのに!ゆっぐぢぃぃいいいああああ!?」 母れいむの慟哭は、町中にいつまでも響き続けた。 そして、通行人の中にその声を騒音、迷惑だなどと思った者は一人としていなかった。 通行人たちは一様に、おちびちゃんの遺体の前で泣き叫び続ける母れいむの背後で、 手を合わせたり、十字を切ったり、それぞれの形ではあったが、 全員が、赤れいむの短い生涯をあわれみ、その冥福を祈ったのであった。 D.Oの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る イイハナシダナ~~!!! -- 2013-06-15 20 16 42 死亡フラグが立ちまくり、、、、、、、わからないよーーーー -- 2013-05-25 20 37 43 偽善とか言っちゃうと他人を煽ってるように見えるんだよね。 -- 2013-03-19 10 37 52 イイハナシダナー -- 2013-01-23 15 51 21 害獣であろうゆっくりを助けないという社会のルールを守りながら、ゆっくりの事を思ってあげるこの街の人たちは良い人たちだ。 -- 2011-10-29 08 34 26 野良相手に治療はいらんだろ? 歩く死亡フラグだし -- 2011-10-17 02 22 11 いいはなしだな -- 2011-07-08 17 46 18 お話と現実を混同しちゃいけないってのが大前提ではあるけど、 自動車による事故や密猟者の罠でならともかく、 怪我をした野生生物を安易に保護すべきでないって意見もあるしね。 自然淘汰や諸々を歪めてしまう危険があるってね。 -- 2011-06-27 08 08 33 まぁまぁ。これは二次元の話だぜ -- 2011-04-18 19 19 40 ↓×8 そんなことが言えるのはあくまで対象が人間ならだけどな 飼いゆでもないゆっくりの命を救うとかどう考えても過干渉だろ むしろこの場合助けるほうが間違い。 違う生物から援助を受けたいならそれなりのリターンがないと これが虐待なんていうんなら野良犬や野良猫が怪我してても動物病院に連れていかなっかたら動物虐待とかむちゃくちゃな理論がまかり通る ゆっくりが死にかけてるとか対岸の火事以外のなんでもない -- 2011-01-23 02 12 23 間接的な虐待とも取れるなコレ。 -- 2010-12-23 02 07 38 良い話だなー;; 優しい人達だw -- 2010-12-21 20 42 47 そもそも他の種族に治療を頼むのが間違い ゆっくりは全く何の能力も価値も無いんだから素直に死を受け入れるべき -- 2010-10-23 04 55 45 色んなSSや絵でも思うんだが なんで1頭身で目線が低いくせに、足元見ずに石で足切るんだろうなw そんな人間に関係無い事でいちいちケガしても助けてられん -- 2010-09-20 03 18 14 ゆっくりに冥福を祈る人間さん・・・そんなの優しすぎる・・・ -- 2010-09-02 18 35 17 救いの手を差しのべると、とことん増長するかひたすら感謝するかの両極端だから困る 大抵の野良ゆっくりの場合恩を仇で返すというのが一般市民の共通認識なんだろうね -- 2010-08-05 12 26 02 助ける価値あるのかよゆっっくりに。 -- 2010-08-02 01 11 25 潰さずに優しく『声だけ』かけるのが残酷だなあ、精神にくるいじめだな 助けないけど冥福は祈るとか、自分の心を慰めるオナニー的行為でなんの意味がない いじめを見ても見て見ぬ振りするけどいざ当事者が自殺したらかわいそうとか助けてあげたかったとか 泣き出す糞偽善者を思い出して嫌になるわ 助けられたのに助けなかったやつが冥福を祈ったり悲しんだりする振りをするのは卑怯だ -- 2010-07-23 23 35 40 踏み潰さないない所か声をかけるなんて優しすぎだろ~ ここはいじめじゃないのwwwww -- 2010-07-23 15 56 36 助けはしないが、その死を悼む。良い人たちだね。 彼らはゆっくりにも魂があると信じる人たちなんだね。ゆっくりできるよ。 -- 2010-07-15 05 24 21
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2152.html
飽きた 6KB 虐待-普通 非難、批判、指摘、なんでもコメントして頂けるとありがたいです 「じゃあいくのぜ!……ゆっせいのーぜっ!」 ガッシャーン! 「ゆん!うまくいったのぜ!」 「ゆふふ♪さすがれいむのまりさだね!」 「ゆふふ!ここはいいおうちだね、きにいったよ!ここをまりさのお『ここは俺の家だぁぁぁぁぁ!』ゆゆ!!」 「…ゆん?……どおしてにんげんさんがここにいるのぉぉぉぉぉぉ?!」 『だからここは俺の家だって…』 「ゆわわわわ…ゆっくりごめんなさい!ここがにんげんさんのおうちだったなんて、しらなかったのぜ…」 「どおしてあやまっているのぉぉぉぉ?!ここはれいむがみつけた、おうちでしょぉぉぉぉ?!」 「なにいってるんだぜぇ?!れいむもちゃんとあやまるんだ『うるさいな…静かにしてくれ』ゆゆ?」 「くそにんげんはだまっていてね!これはれいむとまりさのもんだいだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「れいむぅぅぅ?!どおしてそんなこというのぉぉぉぉ?!にんげんさ『だから五月蝿いって…』ゆん…」 「さっきからなんなの、このくそじじいはぁぁぁ?!れい『頼むからほっといてくれ…』よぉぉぉ!!」 「ゆん?…にんげんさん?どうかしたのぜ?」 『大人しくしててくれ…俺はもうお前達に飽きてしまったんだ…』 「…それはどういうことなのぜ?」 『…何時もなら、お前らが家に入ってきたら喜んで苛めてたんだが……今日はそんな気分じゃない』 「なにいってるのぉぉぉ?!それならさっさとれいむに、あまあまようしてねぇぇぇぇ!!」 「れ、れいむはだまっているのぜ!……いじめるって…なっなにをするのぜ?」 『……そんなことを聞いてどうする?…』 「そんなことはどおでもいいでしょぉぉぉ?!れいむはおなかがすいているんだよぉぉぉぉぉ!!」 「れいむはだまれ!なのぜ!……えっと…それはなのぜ……こんごのさんこうにするためなのぜ…」 『…そうだな…アマギ…お前らの目をくり貫いたり、あんよを焼いたり、お飾りやぶったり…… まあ、死んだ方がましだと思うくらいは可愛がってたけどな……』 「ゆ!…ま、まままりさをいじめても、おおもしろくないのぜ…にんげんさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆがぁぁぁぁ!れいむをむしするなぁぁぁぁあ!!まりさもくそにんげんも、まとめてせいさいしてあげるよ!!」 「れ、れいむ!そんなことはやめるのぜ!……にんげんさんはまりさたちを、みのがしてくれるのぜ?」 『…さっきも言ったろ?お前達にはもう飽きたんだ…何処でも好きなところに行け…』 「ゆふー…にんげんさん、みのがしてくれてありがとうなのぜ!もうここにはこないのぜ、ゆっくりさよなら!」 「なにいってるのぉぉぉぉ?!ここはれいむたちのおう『俺の家だ!』……ゆぎぎぎぎぎぎ!!」 「れいむ、なにしてるのぜ?はやくかえるのぜ!」 「なにいってるのぉぉぉぉ?!まりさはさっさとこのくそにんげんをしまつしてねぇぇぇぇ!」 『…………………』 「どうしてれいむはいつもこうなのぜ?このにんげんさんを、おこらせたらだめなのぜ!りかいできないのぜ?」 「れいむをばかにしているのぉぉぉ?!まりさはばかなの?しぬの?こんなしょぼいくそじじいなんか、こわがることないでしょぉぉぉ?!」 「まえからおもっていたけど、れいむはおおばかなのぜ!もう、りこんなのぜ!ここでゆっくりしんでいってね!」 「なにいってるのぉぉぉ?!このまりさはげすだよぉぉぉ!!れいむがせいさいしてあげるよぉぉぉ!!」 「やれるものならやってみるのぜ!かかってくるがいいのぜ!!」 「「ゆっくりし『こらー!何やってるのアホ兄!』ゆゆゆ?」」 『どうしたマイシスター?この傷心な兄に何か用か?』 『どうした?じゃないでしょ!またアホな事して!それに何なの?このばっちぃ野良ゆっくりは?』 「なにいってるのぉぉぉぉ?!れいむはきれいでしょぉぉぉ?!かわいいでしょぉぉぉぉ?!!」 『うっさいわね!すこし黙ってなさい!!………それよりアホ兄、駅前の花屋さんとこのゆうかにゃんにプローポーズしたんだって?』 『なぜそれを知っている?お前はエスパーか預言者か何かか?』 「れいむをむしするなぁぁぁぁぁ!!はやくあまあまよこせぇぇぇ!!」 『黙れって言ってるでしょ?!今すぐ潰されたいの?……まったく、おかげで近所じゃHENTAIお兄さんって呼ばれてるよ…』 『それは何よりの褒め言葉!……でも断られちゃったんだよぉぉぉぉぉ!!うわぁぁぁぁん!』 『褒めてなぁぁぁぁぁい!泣くんじゃなぁぁぁい!それに振られたくらいで野良を放っておくんじゃない!』 「このくそばばぁぁぁぁ!!もうおこったよぉぉぉ!せいさいしてあげるよぉぉぉ!!」 『まったく!不甲斐ないアホ兄にかわって私が始末するか……ごみれいむ、ゆっくり覚悟してね♪』 「ゆぎゃぁぁぁぁ!やべろぉぉぉぉ!いだいぃぃぃぃ!ゆがががが…!!」 「ゆわわわわ…まりさはゆっくりにげ『まて!』ゆびゃん!ゆががが!ゆっくりごめんなさい!」 『………』 『安心しなさい!私はれいむが嫌いだから痛めつけるの…まりさは好きよ♪』 「ゆー!あんしんしたのぜ!まりさはいじめられないのぜ?ゆっくりできるのぜ!」 『ふふふ…まりさは大好きよ…悲鳴を上げてのた打ち回る姿がね♪』 「ゆん?………ゆががががががが…まままままりさはしにたくないのぜぇぇぇ!!」 『………妹よ、そのまりさは兄が貰おう………お前がれいむを苛めているのを見たらなんだか元気が湧いてきた! そう言う訳だ、まりさよ!お前から元気を貰うぞぉぉぉ!!』 「ゆっひぃぃぃぃぃぃ!」 『ゆうかにゃんだけが胴付じゃない!今度はタバコ屋のきめぇ丸にラブコールだぁぁぁぁぁぁ!!』 『やめんかぁ!このアホ兄!』 『さあ、まりさ!ゆっくり苦しんでいってね!』 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 完 おまけ 見せて 「うぅ…だめ…はずかしいにゃん…」 恥ずかしがらないで、さあ… 「でも…うぅ……やっぱりだめにゃん…」 ほら、大丈夫だよ…どうしてそんなに恥ずかしがるの? 「そ…それは…だって…その…」 恥ずかしがらなくても良いんだよ、ほら 「そんなこといわれても、はずかしいにゃん!」 自分で脱げないならお兄さんが手伝おうか? 「うぅ…ひとりでできるにゃん…」 ほら、早く見せて…恥ずかしがらないでさ… 「いじわるいわないで…やっぱりはずかしいにゃん…」 んー仕方ないな…えい! 「にゃ!やーん!なにするにゃん!…うぅ…ぬがされちゃったにゃん…」 こうなったらもう見せるしかないでしょ?さあ、恥ずかしがらないで良く見せて… 「うぅ…じっとみちゃいやにゃん…きたないにゃん…」 そんなことないよ、きれいでかわいいよ 「うぅ…やっぱりはずかしいにゃん…」 ふーむ、やっぱりないのか… 「まんぞくしてくれたにゃん?はずかしいからくつしたさん、はいていいかにゃん?」 やっぱり足の指にも爪はないんだね…所で、どうしてそんなに恥ずかしがったの? 「うぅ…だって………おにいさん、どさくさにまぎれてゆうかにゃんのおぱんつみてたのにゃん…」 ギックゥゥゥ!ばれてたの?!……いや、なんでもないよ…はっはっは… 「じー」 うぅ…ごめんなさい 「おにいさんはえっちなひとにゃん…へんたいさんなのにゃん」 完 めーりん公園花でスッキリ出来なかった方すみませんでした。 注意書きに書いておけば良かったですね。 原作も意外とあっさり主人公と主人公を苛めていた(?)人が死んでいるのであんな感じです。 制裁よりも、めーりんの残した物を見て貰いたかったというのもありますが。 無理やり基本種4匹悪党にしたっぽい印象があるかもしれませんが、 原作でもニコニコ笑ってると、子供らに馬鹿にされた的な表現があるのであんな感じです。 今回もお楽しみいただければ幸いです。 徒然あき(法然あきorムシゴロウあきでも可) 徒然あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 俺なら拉致る -- 2014-01-02 13 44 27 HENTAIってLvじゃねえええええええええええええええええええええ -- 2012-07-26 18 27 21 さっさと逃げればいいものを・・・w -- 2011-08-26 18 41 09 まりさもさっさとくそれいむを見限れば虐待されずにすんだかも知れないのに -- 2010-08-10 22 58 37 金髪の子かわいそう。 -- 2010-07-08 21 42 04
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1347.html
ばうんてぃはんたー 27KB 虐待-普通 理不尽 駆除 都会 現代 独自設定 独自設定解説多め 建物の影から、一体のゆっくりが姿を見せる。 そいつは威嚇しながら要求を口にした。 「ゆっへっへ! あまあまさんをよこすんだぜ!!」 鋭い眼差しにゲス口調。 肌色の体を泥で汚し清潔感の欠片も無い。 飼いゆが野良化したまりさだと特定。 判別要素は黒い帽子に付けている銅バッチ。 「ゆあ~ん!? まりさのありがたいおことばがきこえないの? おみみがとおいの? まりさがなおしてあげようか? げらげらげらっ!!」 何を間違えてこの様な性格になってしまったのか。 俺は呆れ顔をしながら懐に手を入れた。 「お~? まりさのいだいさがわかったんだね!? さっさとあまあまをよこせ! くそじじいっ!! ……もがっ゛!? 」 まりさの口の中に黒光りする先端を無理矢理押し込む。 目の前にいるまりさは、不満を爆発させて目が更に釣りあがっていく。 しかし、俺が "カチリ" と撃鉄を引いた瞬間、まりさは顔を青くさせた。 そう……まりさの口の中には銃口が入っている。 怯えたまりさは、憐れみと不安を混じりあわせたような表情を俺に向けた。 「ゆ…ゆっくりゆるしてね!?」 この急激な表情の変化。 「まりさは、いいやつがおおいんだよ!?」 いきなり命乞いに走る必死な姿。 「ゆっゆ~ん! ゆっくりゆるすんだぜ!!」 その全てがたまらない。 「うごっ!? うがっ!! うぼぉおおおおおおっ゛!?」 俺は無慈悲に引き金を絞った。 装填している五発の弾丸をまりさの咽奥へと連続発砲。 「やべっ!? あがああああああっ゛!! がらだがあづいいいいいいっ゛!? あづっあづっ゛!? ……ゆ!? いだいっ゛!! いだああああああっ゛!?」 まりさの体に入った五発の弾頭。 この弾頭部分は金属では無い。 強烈な辛味成分等がたっぷりと濃縮された大粒の球体だ。 例えるならば、いわゆるペイント弾に属する代物だろう。 多少、扱いやすいように加工してある。 「ゆあああああああああっ゛!? あああぁあああぁあああぁあああっ゛!!」 弾頭がゆっくりの内部に入ると、 辛味成分がじっとりと嫌らしく溶け出しながら体を蝕んでいく。 これは、極々初期の段階に開発された、今では使う者が少数になってしまった装備。 でも、俺は好んでこの装備を使っている。 目の前で体を狂ったように振りながら地獄へと旅立つまりさ。 もがき苦しむ素晴らしい姿を写メで撮って待ち受けにしたい位だ。 「だずげでええええええっ゛! ゆっぐりざぜえっ!?……ごぼおおおおおおっ゛!!」 道路上に黒い餡子を吐き散らかす。 まりさはもう長くは無い。 「ごぼぼぼぼぼぼぼぼぼ……」 俺は盛大に吐いているまりさの目を覗く。 瞳が白く濁り、絶望を映したまま虚空を見つめていた。 「終了」 俺はまりさの帽子と体をチェックする。 何処かに、"ユーコード" と言われる特殊な模様があるはずだ。 「ない……それならここか?」 帽子を取って裏地を確認。 そこにはシール状のユーコードが貼り付けてあった。 「良し、ブロンズ・コード発見」 これが無いとタダ働きになってしまう。 ユーコードが有るか無いかでは、天と地の差がある。 「送信っと。さて……こいつの賞金は?」 携帯でユーコードを取り込み、情報サイトへと転送する。 「……思ったほどではない…か」 情報は即座に携帯画面から俺の目に入り金額を確認。 金額はかなり微妙な感じだ。 依頼人がケチってるとしか思えない。 「まあいいさ。貰えるだけありがたい」 確認のボタンをクリックしてから暗証番号を入力。 これで即日に入金が行われる手筈になっている。 中々便利なシステムだ。 「ま? まままっ、まじざぁああああああっ゛!?」 「……"でいぶ" か」 建物の影から現われたのは大きなれいむ。 こちらもまりさと同じく野良ゆっくりだ。 汚れた体を見ただけですぐ解る。 そんな野良でいぶの色褪せたリボンに付いている、 色がくすんで傷だらけのバッチに俺は興味を引かれた。 「"元銀バッチ" みたいだな?」 「ゆゆゆ!? そうだよ!! でいぶはぎんばっちさんなんだよ!!」 俺は空になった薬莢に赤い弾を詰め込んでいく。 でいぶにはそれが甘いお菓子に見えたらしい。 「ちょうだいねっ!! かわいいでいぶ……ゆ?」 焦らなくても……、 「たっぷりご馳走してやる」 弾装に三発の弾丸を詰め込んだ後、 俺はでいぶの眉間に銃口を突きつけて発砲した。 「ぶっぶぅふううううううううっ゛!? おぼおおおおおおおおおおおっ゛!!」 「美味いか?」 硬い外皮の弾頭はそれなりに貫通力はある。 カプセルに包まれている状態の弾頭部分は、 ゆっくり達の体を突き抜ける威力はないので体内に留まる。 それがまた好都合。 ゆっくりの体内で溶けて最悪な苦痛と激痛を脳天に与える。 瞬殺させない為に特殊な配合で糖度と辛味の濃度を調整。 希望を持たせた後、絶望を与える事を繰り返す振り子運動。 そのような感覚をゆっくり達に味あわせて長期延命を計る調合で作られている。 ただし、延命処置は撃ちすぎない事が大前提だ。 一体に対して大量摂取させた場合は殆ど意味をなさない。 それなりに高度な技術だ。 狂人とは恐ろしい発明をするものだと感心する。 「それがお前のゆん生の終着駅だ。じっくり味わえ」 「ゆおごがぶぐがっ゛!? ……げぼおおおおおおおおおおおおっ゛!?」 まりさと同じく壮絶な最後を迎えたでいぶ。 多くの餡子を吐きまくり、地面へと崩れ落ちた。 俺はでいぶに付いていた銀バッチを毟り取り、 バッチ側面の小さな隙間に爪を引っかけてスライドさせる。 真ん中からスライドしたバッチの断面には、ユーコードがプリントされていた。 銅バッチまりさのようにシールではない。 これは手のかかった特殊品の証だ。 「大当たりだな。さすが、銀でいぶ 」 転送したコードの賞金は予想以上にかなりの高額配当。 最初に狩ったまりさの数倍近くの金額が携帯の液晶に映っていた。 俺はまりさとでいぶに感謝しながら入金手続きの処理をする。 増え続ける野良のゆっくり達。 それは社会の害悪となり、有益に結びつかない災いの種。 そこで政府は重い腰をあげる。 ゆっくり達に個別のコード認証を持たせ、無作為に捨てた飼い主を特定。 そして、悪い事をしたゆっくりの飼い主には重い罰を与えるという、狭い視野でまとめられた法案。 とりあえずの精神が垣間見える、社会に不安を与えて牽制する姑息な手法をとった。 それと同時に野良駆除に対する褒賞も発案された。 だが、それは極々微々たる額。 子供の小遣い稼ぎにさえも、全く見向きもされない金額だった。 それなりに駆除されていく野良。 何も変わらない国のゆっくり対策。 「……それが、まさか、こんな事になるとはね」 俺は銃に入った薬莢を取り出しながら呟く。 「賞金首……か……」 劇的な変化は数ヵ月後に訪れた。 ある金持ちがネット上で飼いゆっくりの情報を流したのがきっかけとなる。 そこに乗った情報は、 『ワシのゆっくりを始末してくれ! 賞金を出す!!』 そのような必死な訴えと、飼っていたゆっくりの詳細だった。 そして、その賞金額に世間は驚いた。 イチの後に信じられない位のゼロが並んでいたのだ。 直後、老若男女が一斉に狩りへと向かう。 街の隅から隅へと走り回る大勢の狩人。 その際に多数の野良ゆっくりと遭遇したのだろうが、 『目的以外に構うのは時間の無駄!』とばかりに、スルーを実行。 小物より、膨大な巨額のお金がその身の付けられた賞金首を捜して疾走する。 数刻後、賞金首捕獲の通達がネットで流れる。 賞金首を射止めたのは小さな女の子だった。 庭に入ってきた野良を捕まえて親に見せに行ったら大当たりだったらしい。 その小さな掌で、文字通り巨万の富を手にした女の子。 世間は一瞬にして力が抜けた。 『これで祭りは終わりだ』 誰もがそう思った。 ……しかし、その考えは杞憂となる。 その後も新しい賞金首が次から次へと情報サイトにアップされた。 それは、"自分で探せなくなって追い詰められた人が世の中に溢れている" からに他ならない。 元飼いゆが捕まって告発されれば元飼い主の自分が罪に問われる。 それは何としても避けたいと誰もが思う。 回避の手段としては、捕獲か始末する方法を実行するしかない。 しかし、元飼いゆが悪い事をしてしまってからでは遅いのだ。 だからと言って長期に学校や仕事を休むわけにはいかない。 飼い主は不安で枕を高くして眠れない日々が続くのは明白。 そこで依頼をする。 賞金首情報を配信する専門サイトへと。 その登録された情報は各地に散らばるハンターへと伝えられる。 今では巨大なサイトとなり、昼夜を問わず大なり小なりの依頼が殺到している。 俺もそのハンターの一員。 かなり早い段階からこの仕事を続けている。 これは仕事と言っても趣味の一環だ。 食っていける一生の職業には程遠い。 誰が最初に提案したのかはは知らないが、 この遊びを "仕事" として伝えるのが通例になっていた。 ハンターの資格はゆっくりを潰せるか潰せないか。 殆どが抹殺依頼なので必須条件だろう。 ごくまれに捕獲依頼があるが、 依頼者の大半は元飼いゆを早々と見捨て始末を依頼してくる。 「まあ、飲み代と煙草代位は稼げる」 それ以上の稼ぎを得る場合もあるこの"仕事"に嵌る輩は多い。 趣味と実益を兼ね備えたゲームに等しい行為だからだ。 「今日はこれで終わり。十分稼いだしな」 俺は伸びをしながら家路へと急ぐ。 「その前に……コンビニでも寄るか」 材料が切れた事を思い出した俺は、 その足で近くのコンビニへと足を運んだ。 設置されているATMで金を引き出した後、商品を大量に買い込んだ。 コンビニの籠がミシミシと音を立てる。 そして、レジで清算しようとしていた時、横から声を掛けられた。 「……まだ"仕事"をしているの?」 「?」 俺は声を掛けられた横に視線だけを向ける。 そこには知り合いの女性が佇んでいた。 「そうだよ。まだそんな物で"仕事"をしているのかい?」 「お前もか……、ああ、そうだよ」 それと女性の横に並んで立っていた長身の男性。 この二人は、かつて一緒に狩りに興じていた俺の仲間達だ。 双方とも悲痛な表情を浮かべ、悲しそうな瞳で俺を見つめている。 「もう辞めてっ!? 見ていられないの!!」 「我慢できない! 僕からも友として言わせてもらう!!」 「またか……勘弁してくれ」 会う度に口煩い、かつての友人。 俺は苦い顔で不満を表す。 しかし、それで発言が抑えられる事はなかった。 「そうよっ!! あなたにオススメするのは……」 「そうだっ!! 君に一番あっている物は……」 それぞれがポケットに手を突っ込む。 「この、皮ごしらえの鞭なのよ!!」 「この、煌めくスタンガンさっ!!」 「……」 そして、それぞれがオススメの装備を取り出した。 俺は当然どちらの装備にも無反応。 と言うか、堂々とコンビニで出すな。 「……この黒光りする艶の素晴らしさがあなたには解らないの?」 「……君は、程よい電気ショックで痙攣するゆっくり達の姿に、心がときめかないのかい?」 かつての友人。 今では親友の二人が、お互いに開いた距離を詰め寄り怒りを露にする。 火花を散らしながら自分がオススメした装備の長所を語り出す。 その熱気にあてられて、店に居た他の客達も自身の装備自慢を始めた。 マジで警察に捕まるのでそろそろ辞めていただきたい。 「はいはいはいはい。とりあえず外に出るぞ」 「がるるるるるるっ!!」 「ぐるるるるるるっ!!」 俺は買い物を済ませ、唸る二人を無理矢理店の外へと引っ張っていった。 缶コーヒーを飲みながら歩道を進む三人組。 「……と言う訳で、俺はこの装備から変える気は無い」 「そう……残念だわ」 「君がそこまで言うなら仕方が無いね」 親友達は納得した表情で頷く。 だが、この光景は先日にもあった。 絶対にどちらも再交渉があると断言できる。 さすが俺の親友達だ。 凄くシツコイ。 「……あっ! ゆっくり達がいるわ!!」 「本当だ! あれは賞金首かもしれないよ!!」 路地裏の奥、 そこにはゴミ箱を漁るゆっくり達が居た。 「俺はいいや。このまま帰る」 「そう……残念だわ。この新しい鞭の魅力を伝えたかったのに」 鞭を引っ張り、乾いた音を響かせる女王様。 「残念だよ……。この新開発した電気ショックを見せたかったのに」 虚空に稲光を撒き散らす雷神様。 そして、別れの挨拶はそこそこに二人は獲物に向かって飛んでいく。 「ほ~っほっほっほ!!」 「ヒャッハァアアアッ!!」 『『 ゆっ!? ゆびびゅががががががっ゛!? おばあああああああああっ゛!! 』』 ビシビシ、バリバリ、ゆぎゃぁゆぎゃぁ。 快音と野良ゆっくり達の声がハーモニーを奏でる。 「あいつら……中々、いい音させやがる」 その爽快なメロディーを背中に受けながら、俺は自宅へと歩き出す。 家へと帰宅。 そして、コンビニ袋を持ちながら向かったのは一番奥にある部屋。 扉を開けると、そこにはケースに入ったゆっくり達。 「……ゆぐっ」 「……ゆううううううっ」 安く購入した虐待用だ。 脱走防止の為、厳重に封鎖された部屋で処置をする。 こんな安物でさえ厄介なユーコードは付いている。 それも体の部分に。 安くなれば安くなる程、容姿を無視したぞんざいな部分にプリントされている。 ユーコード処理の費用軽減と、一部のゆっくり団体が進めていた虐待抑制の効果を狙ってだろう。 『あなたはこんな危険な爆弾を虐待するんですか?』の意味を込めた皮肉にも捉えられる。 実際、部屋の戸締りの管理が甘く、隙を付かれて脱走された事がある間抜けな虐待お兄さんがいた。 数日程焦って探したが、運悪く既に問題をおこした後で、重い処罰を受ける羽目になったのだ。 それは誇大報道されて話題となったが、監禁グッツの売上が伸びただけで、抑制効果は殆ど無かったようだ。 恐るべし、ゆ虐お兄さん(お姉さん)。 「今日は何にしようか?」 「いやだぁああああああっ゛!?」 「いだいのはいやぁああああああっ゛!?」 ケースの中で、まりさとれいむが騒ぐ。 この二体は姉と妹の間柄。 少し前に親子セットで購入してきた虐待用だ。 「ずっどゆっぐぢじだぐないよぉおおおおおおっ゛!?」 「れいぶ、なじもわるいごどじでないのにぃいいいいいいっ゛!?」 ちなみに、こいつらがママと呼んでいた物は、別のケースに入っている。 "ゴミ入れ"と、名の付くケースに。 「ゆわぁああああああんっ゛!?」 「うわぁああああああんっ゛!?」 盛大に泣き喚くゆっくり姉妹。 「定番からいってみるか」 「ゆゆゆっ!? んぐっくん!!」 「ゆばっ!? おねえじゃん!!」 大きな口を開けていた姉まりさに白い錠剤を放り込む。 「……にゃんだか……にぇむくにゃってきたよ……」 「ゆゆゆ!! おねえじゃん!! がわじいぃびぼうどを、おいでいがないでね!!」 一生懸命に頬をすり寄せる妹れいむ。 だが、姉まりさの瞼は閉じていく。 「…ぐ~っ」 「おねえちゃああああああああんっ゛!?」 「予測通りの効果」 姉にラムネを飲ませた。 これは眠り薬というよりは麻酔薬の効果があるらしい。 ある程度は切ったり叩いたりしても起きる事は無いとの事だ。 「さて、お前にはこれを食べてもらう」 「ゆ。ゆゆゆ!! おねえちゃん!! おきてっ!! おきてよおおおおおおっ゛!?」 「すーやすーや。ゆぴゅぴゅぴゅぴゅ……」 泣き喚く妹れいむ。 幸せそうに眠る姉まりさ。 対照的な姉妹の姿。 「んぐっくん!? ゆ……ゆゆゆ。ゆゆゆゆゆ!?」 妹れいむにある物を飲ませた。 「ほふ!? ほふおふ! からだがあついよ!?」 キシリトール配合の甘い飴だ。 これは興奮剤の作用がある。 「そして、これを飲ませる」 「ゆ? ゆむ!? ゆむゆむむむんっ゛!? ……んっほぉおおおおおおおおおおおおっ゛!!」 ヨーグルトは精力剤。 これで、"簡易れいぱーれいむ" の誕生だ。 「んっほぉおおおおおっ゛!? かわいいまりさだよおおおおおおっ゛!!」 安らかに眠る姉まりさに興奮した変態妹れいむ。 目に映るゆっくりは家族だろうが頭の中はすっきりをする事しかないだろう。 それが、この方法で人工的に作られたれいぱーの特徴だった。 俺は直ぐに透明な仕切り板を間に取り付け双方を隔離する。 妹れいむは絶え間なく透明な板に体当たりをしていた。 そんな騒音を気にせず、姉まりさは安らかに眠っている。 「さて、これからが本番だな」 れいぱー状態のれいむを静める配合の新薬調査。 それが今の目的の一つだ。 「これはどうかな?」 「ゆっ゛!? ゆぶっ゛! ぶふふうふふふふふっ゛!?」 れいむが更に赤く膨れ上がった。 失敗のようだ。 「じゃあ、これは?」 「おふううううううっ゛ゆっふあああああああああっ゛!?」 れいむの目玉が盛り上がり、片方が飛び出した。 そこからゴボゴボと濃い何かが床に流れ落ちる。 「駄目っぽいな……これも」 たった二度の実験で使い物にならなくなった。 本当に弱い固体だ。 安物だからしかたないのか? 「まあいい。いっぱい増やしてくれ」 「ゆっほおおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!!」 俺は仕切りを外してから蓋をする。 煩い声を抑えるために。 直ぐに飛び掛っていく妹れいむ。 その姿は、片目が無く、鬼の様に体は赤く染まり、奇声を上げながら姉まりさへと飛び掛った。 「むっほおおおおおおっ゛!! ずっぎぃいい……いいいっ゛!?(ボチュン!!)」 「うわっ!? なんだ、何がおこった!?」 急に響いた爆発音に驚いて振り返るとケースは真っ黒に染まっていた。 妹れいむの鬼と化した姿は無い。 あるのはケース側面に張り付いて下へと流れる残骸だけだ。 「すーやすーや」 麻酔が効いた姉まりさの頭には数本の茎が生えていた。 緑色の茎の束が黒い帽子を押し上げている。 姉まりさはゲッソリと衰弱していた為、慌ててジュースをかけた。 しかし、次から次へと茎が生えてくる。 栄養補給が追いつかない。 このケース状に広がる妹れいむの残骸は、全部精子餡に変化した可能性あると俺は推測。 多数の茎を生やした姉まりさは、別のケースで水栽培の要領で育てる方法を取った。 「大失敗……。また再挑戦するか」 もう、この姉まりさ以外に在庫は無い。 「一攫千金の夢は果てしなく遠い」 れいぱー化を抑える薬。 俺は強力な鎮静効果のある食品探しをしていた。 賞金は、何も狩られるゆっくりにあるとは限らない。 ゆっくりに関する、ありとあらゆる事例に存在する。 今の所、一番高額な依頼がこの薬開発だった。 「……変な所で意外と繊細だから困る」 最初は、れいぱーありすを激安で購入して実験していたのだが、 ある日安売りがあって買いすぎてしまい、同じケースに入れていたら壊滅していた。 凄惨なケース内部状況だったと記憶している。 なので、別に買っていた親子を人工れいぱー化をさせていたのだが、とうとうストックが切れた。 暫くは固体を増やす作業に時間を費やさなければならない。 実験はまた今度だ。 「でも、実験の副産物は意外と多い」 俺はそう呟きながら食品を手に取り調合していく。 その夜は机の片隅で作業に没頭した。 それから数日後。 太陽が沈み、周囲が漆黒に包まれた道路上。 街灯の灯りさえも存在しない薄寂れた廃墟前に俺は居た。 地元では有名な病院の廃墟。 幽霊目撃が多数存在し、誰も近づかない物件の一つ。 その信憑性を高めるかのような事例と事故が運営中の病院内で頻繁に起きていた。 病院で不幸な末路を辿った人の数は、俺が知っている事柄だけでも両手の指の数を上回る。 「……いきますか」 俺はその心霊スポットに足を踏み入れた。 現時刻から少し遅めの肝試しが始まる。 廃墟に響く足音。 遠くまで反響して嫌な雰囲気を漂わせる。 「本当にいるのか?」 俺は携帯を開きながら呟いた。 そこには、一体のゆっくりの姿が大きく映っている。 久しぶりの大物。 金持ちが甘やかして肥えさせた金バッチ。 別に脱走したゆっくりが心配なのではない。 脱走したゆっくりが悪さをして自分が罪に問われる事を何よりも恐れている人物。 それが大金と地位を持った者達。 だが、高額な賞金をかけるメリットがなければ、金を出し渋る連中もいるかもしれない。 そこは、狩人、依頼者、それぞれの利益に直接に結びつく特典が設けられていた。 その特典とは……、 「!?……お化け、では無さそうだ」 暗がりの奥から物音がした。 俺は物音のした方向へと、懐中電灯と視線を向ける。 今、確かに肌色の物体が通った。 「帽子?」 一瞬、視界に入ったのは黒いとんがり帽子。 あれはまりさの特徴であるお飾りだ。 「お仲間さんか」 誰も近づかない廃墟は野良にとっては好都合なのだろう。 多数のゆっくりがいても不思議ではない。 俺が全滅をさせてもいいのだが……。 「耳の奥が痛いな……」 曰くつきの病院内。 それも深夜に差し掛かる時刻。 噂は伊達ではない。 何かゆっくり出来ない感覚がある。 得体の知れない何かが。 それは、俺の胸の中でしこりとして残った。 「長居は無用か」 俺は暗闇の廊下を進んでいく。 ターゲットは意外と早く見つかった。 入院施設に設置しているボロボロのベットの上で丸くなっているゆっくり達。 肌を密着させて暖を取りながら眠る集団の中心部。 そこに金バッチを頭に付けているでいぶが居た。 「よし」 早急に終わらせようとしたその時、 俺の足元でガラスの割れる音が煩く周囲に響いた。 「ゆ!? てきしゅうだよ!!」 「ゆっくりできないひとがきたよ!!」 「ゆっくりにげるよ!!」 「何だと!?」 ブービートラップ。 ガラスを床に敷いて危険を察知する陳腐な罠。 それに引っ掛かった俺はゆっくり以下なのか? 少々へこむ。 「まあ、……しょうがないな」 自分の不甲斐なさに落ち込みながら、銃の照準をゆっくり達に向ける。 最初の照準は当然金バッチでいぶ。 「ゆぶっぽっ゛!?」 「で……でいぶうううううううううっ゛!?」 銃弾が二発、でいぶの体に吸い込まれた。 体が燃えるような感覚に苦しむかのように、 歯を食いしばり、苦痛の表情と浮かべながら床を転がる。 「うぎいいいいいいいいいいっ゛!?」 「じっがりじでええええええっ゛!! ゆっぐりじでよぉおおおおおおっ゛!?」 ツガイ?のまりさがでいぶに駆け寄っていく。 周囲のゆっくり達は構わず逃げようとしているが、 俺は煙草代の足しに成るだろうと思いながら、他のゆっくり達にも発砲した。 「ぺーろぺーろ!! でいぶ、ゆっくりなおってね!! ゆっくりしてね!?」 「……ゆ、ぐぐぐ。ゆ、ま、まじ……ざ?」 「でいぶ!? まじざだよ!! ゆっくりしていってね!?」 苦しむ自分のツガイを必死で舐めて治療するまりさ。 すると、でいぶがまりさの名前を言った後、顔を下に向けたまま停止した。 急に訪れた静寂。 まりさは繭を寄せながらでいぶの顔を下から覗き込む。 「……」 「…でいぶ?」 「んほ」 「……んほ?」 「んっほぉおおおおおおおおおおおおおおおおっ゛!?」 「うわぁあああああああああああああああああっ゛!?」 発情したでいぶがまりさに襲い掛かった。 大きな体で圧し掛かるでいぶ。 無理矢理にすっきりを強要し、まりさは次から次へと赤ゆっくりを宿していく。 「いやばぁああああああっ゛!? もうずっぎりーじだぐないよおおおおおおっ゛!!」 まりさは大声で叫ぶが、でいぶは全く止まらない。 茎に宿した赤ゆか黒く変色して床に落ち、まりさ自身の体も黒く染まっていく。 「…も、ゆ……ぐぢ……じだが……」 「ずっぎりぃいいいっ゛!! ずっぎりぃいいいっ゛!! ずっぎ……!?」 急にでいぶの動きが止まった。 目を見開き一点を見つめている。 「……ボン」 俺は掌を広げて爆発を表現する。 直後、でいぶの体は内部から弾けた。 ボタボタと空から落ちるでいぶの残骸。 「成功だな」 完成した新弾丸。 強制的にれいぱー状態にした後、内部からはじける異質な調合。 狂ったターゲットが周囲のゆっくり達に襲い掛かかる事により、 弾数が少なくても多数の処理が期待できる。 実験も終わったし、これからは群れ用に常に携帯しておこうか。 このでいぶ達の他にも四体の野良ゆっくり達が同じ様に息絶えている。 先程撃った新弾丸で同じ様な末路を辿った奴らだ。 「さて、送信準備」 他の野良は後回し。 まずはメインの金でいぶだ。 俺は確認を急ぐ。 「なんだ? これは……」 それは、金バッチに見せかけた玩具のバッチだった。 これでは通常野良規定に定められた二束三文の額しか貰えない。 「ガセ…か? まいったな」 手の中で偽造金バッチを握りつぶす。 ゆっくりの自作だったのだろうか? いとも簡単に偽造バッチは歪んでゴミと化す。 『こんな日もある』 俺はそう思いながら、病院の廃墟を後にしようとした。 その時、ふとした違和感に気付く。 「……?」 暗がりの奥。 先程、残り弾で撃ったバッチ無しの安そうな野良。 そのまりさの頭の上に、普通、被っているはずの黒い帽子が無い。 俺は記憶を辿る。 先程見たベットに乗るゆっくり達の塊を。 確かに塊の中には帽子なしのまりさがいた。 『帽子を誰かに取られたのか?』 俺はそう推測した。 野良生活ならばよくある事だ。 だが、帽子が無くなった状態で野良の集団生活が出来るのか? それは滅多に無い事例のはず……。 「何かがおかしい」 そう呟きながら、さらにその前の記憶を辿った時、 冷静になった俺の頭は、異常な場所で鈍った判断力が及ぼしたと思われる、 胸の奥に残った違和感を伴うしこりの原因にやっと気づいた。 一番最初に見た帽子を被っていた肌色の物体。 あのゆっくりは…、" 黒い帽子を被った黒い髪のゆっくり " だった。 「やられた!」 身代わり。 配下のでいぶに偽のバッチを与え、 まりさの黒帽子を奪い取って自分の頭に乗せた賞金首のでいぶ。 俺はいとも簡単に安っぽい頭脳戦に嵌められたのだ。 「最悪だっ!」 俺は廊下を走り出す。 黒髪ゆっくりが消えていった暗がりに向かって。 病院内は広かった。 とても見つかるとは思えない。 俺は焦りを伴いながら周囲を探索した。 「ゆ~っしょ!!」 「ゆっしょ! ゆ~っしょっ!!」 「ゆっ、しょっしょーっ!!! 」 「おそいよ!? くずにんげんがきちゃうでしょおおおおおおっ゛!!」 「……」 廊下を移動しているのは黒い帽子を被ったでいぶ。 その周りには胴上げをしているかのように寄り添うゆっくり達。 俺は口端を引きつらせながら、 策を要する才気はあっても、詰めが甘すぎるこの将を見つめていた。 「ゆ!? くずにんげんがきたよおおおっ゛!! かわいいでいぶをまもってね!!」 『『 ゆっゆおおおっ!! 』』 六体のゆっくりが俺の前に立ち塞がる。 「ふっふっふ!! でいぶのしんえいたいだよ!! ゆっくりこうかいしながらしんでねっ!?」 でいぶは、敵が一人だと確認した後、明らかに笑った。 勝てる戦だと思ったのだろう。 俺は境地に立たされて……いなかった。のだが、 でいぶ親衛隊との戦いが始まる前に、病院廊下の奥の方から声が響く。 「……大勢で囲むのは感心しないわね」 「……そうだね。見ていられない。助太刀するよ」 俺は声がした方に目を向けた。 ……当然、半目になりながら。 「ゆゆゆ!? これは、あのくずにんげんとのけっとうなんだよ!! かんけいないにんげんは、ゆっくりきえてねっ!?」 「ふっ、関係あるわよ」 「ふっ、関係あるさ」 鞭をしならせる女性と、 空に閃光を撒き散らす青年は同時に叫んだ。 『『 その人は、大切な仲間なのだから!! 』』 『『 ゆわぁあああああああああああああああああああああっ゛!?』』 熱い叫びと共に、でいぶ親衛隊に戦いを挑む親友達。 まあ、これも長い付き合いだから予測済み。 相変わらず、計ったかのようなタイミングで現れる。 俺は溜息を一つ吐いた後、弾装に銃弾を込めながらでいぶの元へと歩いていく。 「……ちかずくなあああっ!? ぐるなああああああっ゛!!」 泣き叫ぶでいぶ。 俺は恐怖に怯えるでいぶの前で片膝を折る。 その片足を付いた姿勢に優越感を感じたでいぶは、嫌らしい笑みをさせながら口を開いた。 「ゆ? でいぶはさすがだね!! くずにんげんは、やっとわかったんだね!? きんばっちでいぶはえらいんだよ!! すごいんだよっ!? りかいしたならあまあまもってきてね! こうきゅうひんでいいよっ!?」 げへげへと笑うでいぶ。 その瞳に携帯の画面を見せる。 「……ゆん? こんなのじゃ、しあわせ~! になれないよ!!」 「見ろ」 更にぐいっと押し付ける。 でいぶは仕方なく嫌そうに覗いていたが、段々と顔色が変わっていく。 「なんなの? なんなのぉおおおおおおおおおおっ゛!?」 そこに乗っていたのは金でいぶ自身のプロフィール。 飼いゆ時代の綺麗な体をした金バッチでいぶが笑う写真。 特殊なオーラを付加された金持ち使用の特注品。 その写真を切り裂くように走る、賞金首の平仮名文字。 「どぼじで!? どぼじで、でいぶはじょうぎんぐびになっでるのおおおっ゛!?」 でいぶはやっと自分が置かれている立場を理解した。 「でいぶは、かいぬじざんにあいざれでいるんだよっ゛!? いまはまだあえないげれど、さいっかいっ! したら、なーでなーでしてもらえるんだよっ゛!?」 でいぶは左右に体を振りながら泣き喚く。 まるで、これは悪い夢だといわんばかりに叫びだす。 「おめでとう。お前は歴代三位の賞金首だ」 目の前の金バッチでいぶに対し、ある種の敬意を示すように、 俺は携帯の画面を指で突付きながら祝辞の言葉を述べる。 このサイトでの賞金首リスト申請には、いくつかの特典が設けられている。 まず、元飼い主に対する簡易的な保護。 脱走した元飼いゆが悪事を働いたとしても、申請さえ完了していれば、 その固体に付けられた賞金額とサイトによる追加褒賞で、示談に持ち込みやすい。 そして、広く伝わる宣伝効果。 賞金額が高ければ高いほど、歴代ランキングに半永久的に乗る。 その際、自社等の宣伝広告などは自由に更新可能。 テレビでコマーシャルよりもよっぽど割が良い。 これを利用する為に、ゆっくりを故意に逃がす企業もある位だ。 結果、賞金額は高額の傾向になりやすく、狩りへの意欲も薄れることは無い。 野良ゆっくり達を駆除する為の法案が、新たな遊び場を作った。 政府は予想外の事態となり頭を痛めていたが、 この刺激的なゲームプレイ人口数は、急激に減少する事なく右肩上がりに伸び続けている。 「だずげでぐだざいっ!? でいぶをだずげでぐだざいっ゛!!」 低い気温で冷たくなった銃口をでいぶの眉間に当てる。 体と心が一瞬にして凍えたでいぶは、全身をぶるりと振動させた。 「どぼじでっ゛!? でいぶ、なにもわるいごどじでないのにぃいいいいいいっ゛!!」 親指で撃鉄を起す。 銃の中には、手製の激辛濃縮弾が込められている。 「そうだな」 俺はそう呟いた。 確かに、でいぶは悪い事をしていない。 これからするかもしれないが、それは未来にならなければ解らない。 「……ゆっ!? そうだよ!! でいぶはこんなにかわいいんだからね!? おうたもうたえるよ!! でいぶはとってもゆっくりできるよ!! かいゆにしてくれてもいいよっ!?」 俺は引き金に指をかける。 「お前自身は悪くない」 「ゆ~ゆ~ゆ~♪ ……ゆ?」 お歌を披露していたでいぶ。 既に助かった気でいるらしい。 哀れなゆっくり。 不幸なでいぶ。 「……運が悪かった」 不快な音を立てながらリボルバーが右回転を始める。 撃鉄が、ゆっくりと、動き出す。 「ゆ、ゆゆゆ、……ゆっぐぢざぜでよおおおおおおおおおおおおおおっ゛!!!?? 」 乾いた音が病院の廊下に響いた。 廃墟を後にする三人組。 「やっぱり親衛隊は囮だったみたいね。名も無い野良しかいなかったわ」 「意外と脆かったね。上位スタンレベルにまで行かずにゆっくりしちゃったよ」 「ま、上出来だ」 親友達が軽い不満を漏らしながら歩道を進む。 やはり、金バッチでいぶの他は雑魚ばっかりだったらしい。 俺は携帯を操作して入金手続きを行う。 直ぐに叱咤と激励のメールが大量に届いた。 「今日はあなたの奢りね。さて、行きましょうか」 「僕、いいお店知ってるんだよ。安くて美味しいオススメのお店なんだ」 「…はいはい」 まあ、危ない所を助けてもらった大恩があるからな。 逆らう気は全く無い。 「……ん?」 俺は何かの視線に気付いて廃墟を見上げた。 「何しているの? 早くいきましょう」 「どうかしたのかい? 他にオススメのお店があるとか?」 「いや、何でもない。そこにしよう。案内してくれ」 俺は見た。 病院の窓に蠢く影を。 あれが幽霊の類でなければ、また訪れる日もくるだろう。 そこに賞金首の獲物がある限り、どんな危険な地域でも足を運ぶ。 俺達は慈悲無き狩人。 " バウンティハンター " ・ゆっくり達が狩られるお話 使用している銃は五発薬莢装填タイプのハンドリボルバーガスガン ・バーコード(QRコード?)を 親ゆっくりが子ゆっくりに刻む絵を見たのがきっかけです それに独自設定と既出設定を色々と交ぜてみました 過去作 ふたば系ゆっくりいじめ 612 かってにはえてくる ふたば系ゆっくりいじめ 593 迷作劇場 ふたば系ゆっくりいじめ 572 ぎゃんぶらー ふたば系ゆっくりいじめ 507 火の用心 ふたば系ゆっくりいじめ 500 駄目だよ? ふたば系ゆっくりいじめ 458 ドゲスー ふたば系ゆっくりいじめ 449 希少種の価値 2 ふたば系ゆっくりいじめ 448 希少種の価値 1,5 ふたば系ゆっくりいじめ 443 希少種の価値 ふたば系ゆっくりいじめ 398 ゆっくり達を必殺技で葬る物語 ふたば系ゆっくりいじめ 382 穴だらけの計画とその代償 ・他、5点 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 飼い主が特定されると分かっててゆっくりを捨てるバカはいないだろ。 潰して処分するかバーコードを皮ごと破って読取不可能にする。 そして野良の子供や法律施行前に捨てられたゆっくりには当然バーコードがない。 設定に穴がありすぎ。 -- 2013-08-07 09 26 45 面白かったです! -- 2011-05-22 20 43 43 バーコード管理性か。作った子供にはないから繁殖したら困るな 面白い設定です~ -- 2010-10-20 21 19 53 なかなか面白い設定だった -- 2010-03-19 10 46 06
https://w.atwiki.jp/nicotetsu/pages/1686.html
会社情報 タイトル 位置づけ うp主 開発都市名(マップ種類) マイリスト 最初回 最新回 ニコニコ鉄道 子会社 マイク 大津彼地区(川と海と湖と) ● ● 番外編 社名 ニコニコ鉄道大津彼支社 資本金 100億 決算 1月1日 売上高 不明 単独:不明 連結:不明 負債残高: 0円 (前期比 ±0円 ) 代表者 代表取締役 マイク 業種 陸運業 事業内容 鉄道、不動産、公共投資など 設立 2008年8月1日(ゲーム内時間) 営業キロ 鉄道 1563km 沿線人口 131,645人 主要役員数 2人 ※西日本旅客帝国の宣戦布告により、開発休止
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1511.html
「ふたば系ゆっくりいじめ 718 完全予約制/コメントログ」 ゆ虐SSなのに、この奇形れいむ育てたくなったわw 生まれてくる時から親に否定された子ゆを育ててみたい -- 2012-07-25 03 28 48 奇形種が顔を出してかられいむが息絶えるまでの顛末 ただ残虐な虐待表現は数え切れない程あったけど、よくこんな発想が出てくるな 書いた人がちょっと怖くなった -- 2013-02-26 00 49 37 なんかよくない -- 2013-12-29 02 13 44
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1514.html
今回の幻想郷探方は、里の商家街の外れにある『ゆっくり工房』。 ゆっくりを使った実用品が生産・販売されている。 店内は所狭しと並んだゆっくり。大小様々な品物が目に映る。 奥に佇むのは店主のお兄さん。弱冠23才で独立し、この工房を営む。 お兄さんに話を聞いてみた。 *始めにお伺いしたいのですが、これ本物のゆっくりなんですか? 「そうです。うちの商品は正真正銘、生のゆっくりを加工して作られております。」 *ゆっくりで商品開発したきっかけは? 「ゆっくりというのは、同じ種類は同じ顔をしているように見えて、実は様々な個性があるのです。 それを使う事によって、道具にもより個性を持たせる事が出来ると考えたのです。 茶器の紋様のように、同じ物は一つとしてありません。 お客様の用途・好みにあった、お客様だけの商品を探し出す事が出来るのではないかと思います。 *そう言われてみれば全部表情が違いますね。定番の「ゆっくりしていってね!」の顔もあれば、笑った顔も、ヘブン状態の顔もありますね。 このゆっくりれいむなんか泣き顔ですが。って言うか生きてますね。声出せないみたいだけど。 「それはゴミ箱ですね。生ゴミの。」 *いきなりディープですね。 「このゆっくりを可愛そうと思う方はゴミをなるべく出さないように心掛けるでしょう。 逆に、泣き顔に高揚感を覚える方はゴミを片付ける事が楽しくなりますよ。」 *ははあ。しかしゆっくりが可愛そうな人は、まず買わないと思いますよ。 …顔が上を向いているから、口からゴミを入れると考えてよろしいのでしょうか? 「そうです。消化器官を無理矢理体の下部に移動させているので、ゴミを吐き出す事もありません。 さらにこいつは生ゴミを自動的に消化してくれます。 ゴミを埋める為に庭に穴を掘る必要が無くなる、当店の人気商品です。」 *それは便利ですね。しかし髪とか、雑菌が沸きそうですが。 「髪はこちらの柄に取り付けて、モップとして使用します。」 *なるほどなるほど。素材の特性を生かし切っていますね。凄惨なまでに。 体が随分と硬いですが、何か別の素材を取り付けたんでしょうか? 「いえ、基本的には硬化剤で固めた、ゆっくり自身の体だけを使っています。 一部の顔を除いた外側と、底面以外の内側は完全に固めてあるので、そう壊れる事はありません。 二週間程度なら何も入れずとも生存可能ですし、万一死んでもそのまま焼却出来ます。」 *ほほう硬化剤。するとこちらの、完全に固まったゆっくりまりさも硬化剤のお陰というわけですね。 「それは小物入れです。帽子が蓋代わりで、中は空洞になっています。 なにしろゆっくりは生ものですから、腐るのを防ぐ為にも硬化剤は必需品ですね。 完全に固まると陶器に近い材質になります、その上を釉薬で覆っています。人体には無害ですから食器を作る事も可能です。」 *ティーカップも随分いろんな種類がありますね。これは生きたものは無いのですか? 「基本的には全部固めてあります。生きたままですと毎日の餌などが必要になりますし、洗浄も一苦労ですから。 尤も、お客様の中には熱いお茶を、ゆっくりの悲鳴と共に楽しみたいという方も多くおられます。 年配の方に多いですね。オーダーメイドで対応しております。」 *こちらは鍋でしょうか? 「これは野外用の食器セットですね。親ゆっくりの中にゆっくり一家全てが収納されています。」 *これは凄い。大鍋の中に二つの小鍋。さらには皿、コップまであるんですね。 「これは相当に難作業でした。つがいの親から子まで、全ての大きさがきちんと合う一家を探し出し、制作工程に一度の失敗も許されなかったのですから。 完全なセットを一揃え作るのに平均六家族は冥界送りにしましたね。」 *執念ですね。妄執と言っても良い。 ところでこちらの植物は何なのでしょう?下のゆっくりは鉢植えのようですが。随分苦しそうですね。 「見た通りの鉢植えです。 これはゴミ箱と同じように生きたままのゆっくりを使用しています。中の餡子に腐葉土を混ぜ、頭に植物を植えています。 餡子と腐葉土との混合比によって、ゆっくりの精神状態を変える事も可能です。口の杭を抜いて声帯機能を戻してみましょう。」 「ゆ~ゆ~ゆ~ゆ~ゆ~」 「うふふふふふ」 「ちんぽっぽ~ちんちんぽっぽ~」 「すっぱすっぱすっぱすっぱすっぱてんこっこ~」 「ヘェーエエーエエエエーエーエエーウーウォーオオオォー」 「ラララララァーアーアーナァオオォオオオオサウェエエアアアラー」 *完全にイッちゃってますね。 「こちらはまだ自我が残っていますよ。」 「れいむのおねがいね。もうやめてね。お花をとってね。おうちにかえしてね。」 「たすけてね。頭が痛いのね。窓を開けないでね!風がふくの!葉っぱがゆれるととっても痛いのおおおおおぉぉぉぉぉ!」 「頭に直接肥料を投与しても、ゆっくりに何か食べさせても、どちらでも植物に水と養分を与える事が出来ます。」 *そんな事も可能なんですか! 「舌の届く範囲なら害虫も食べてくれますし、なかなか機能的でしょう? 根が成長する初夏や、風の強い時など、大小様々な悲鳴を上げるゆっくりが楽しめます。 鉢植えそのものにも美を見出してこそ粋な園芸家というものです。 園芸がこんなに楽しいものだとは思わなかった、と嬉しい反響も頂いております。」 *多分それは園芸が楽しいのではないでしょうね。 まだほんの少ししか見ていませんが、これだけの商品を考えるのは大変だったでしょう? というかむしろ考えている時の精神状態のほうに興味がありますが。 「基本的にヘブン状態ですね。それとお客様の要望にヒントを得る事も多々あります。 特にゆっくりの被害にあった方が、捕まえたゆっくりを持ち込んで加工依頼する時など、思いも寄らぬアイデアに脱帽する事もしばしばです。 この道を突き詰める事が、生涯の目標です。」 …巧い具合にまとめっぽい発言が出てたところで、今回の幻想郷探方は一旦終了します。 次号は『ゆっくり工房』の続編、ゆっくり商品の製造過程を紹介する予定です。 By GTO ──────────────────────────────── 良い感じの名前を思い付いたので名乗る事にしました。 意味は例のアレです。 まるでそびえ立つ糞の様な一覧 白玉楼×ゆっくり系3 ゆっくり弾幕 阿求×ゆっくり系5 阿求の竹林遠征記 慧音×ゆっくり系2 慧音先生奮闘記_1 慧音×ゆっくり系3 慧音先生奮闘記_2 慧音×ゆっくり系4 慧音先生奮闘記 慧音エンド プリズムリバー三姉妹×ゆっくり系2 花見ライブin白玉楼 ゆっくりいじめ系427 原点回帰っぽく ゆっくりいじめ系507 原点回帰っぽい後編を目指したらわけ分かんなくなった 白玉楼×ゆっくり系4 妖夢とみょん ゆっくりいじめ小ネタ131 駄作三昧 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/383.html
注意書き: 見慣れないゆっくり達が活躍します。 某童話のゆっくりver. です。 むかしむかし、とあるゆっくり村のはずれで食糧の番をしているひとりの少女、ゆっくりてゐがいました。 饅頭の化身に少女というのはいささか度が過ぎるかもしれませんが、ルビーのように真っ赤な瞳と 長く美しい黒髪、そして丸っこく大きなうさ耳を持っていました。 それ以外はその辺のゆっくりと大差ありません。見た目は―― 「たいへんうさ、たいへんうさ! ゆゆこがくるうさあああああ!!!」 「ゆゆっ!?ゆゆこはゆっくりできないよ!!!」 「ちょっとこわいけど、みんなでおいはらえばこわくないだぜ!!!」 「とかいはじゃないゆゆこは、ゆるさないわ!!!」 「わかるよー、わかるよー!!!」 ある日、この少女の叫び声が聞こえるので、村人、いえ村ゆっくりたちは急いで少女の元へ 駆けつけました。村にはたくさんの食糧が保管されていましたが、ゆゆこにかかっては ひとたまりもありません。 我らがゆっくりらいふを守るため、血相を変えてゆっくりたちが集まってきます。 しかし、いざゆっくりたちが来てみると、ゆゆこなどどこにもいません。そこには、 ゆっくりてゐがひとり笑いころげていました。 「あはははは。うっそうさ~♪」 「ゆゆこなんていないじゃない!!ぷんぷん!!!」 「まりさにうそをつくなんて、いいどきょうだぜ!!!」 「うそつきは、いなかもののはじまりよ!!!」 「ちーーんぽ!!!」 村ゆっくりたちは少女をこっぴどく叱りましたが、とにかく食糧の草花も少女も 無事だったので安心し、戻っていきました。 しかし、ゆっくりたちが我が家に戻ってみると 「「「おぎゃあああじゃあああん!!!ごはんがにゃいよおおおおおお!!!」」」 「ゆゆっ!?でいぶがいっしょうけんめいあつめたごはんがああああ!!!」 「ま゙り゙ざの゙お゙い゙じい゙お゙はなさんがあああああああ!!!」 「とかいはのゆうがなてぃーたいむがあああああ!!!」 「わ゙がらないよー!!!わ゙がらないよー!!!」 何ということでしょう。それぞれが日々こつこつ貯めてきた食糧が、根こそぎ無くなって しまっているではありませんか。 「おきゃあしゃん・・・まりしゃおにゃかしゅいちゃよ・・・」 「ごめんね・・・おはなさんがどっかいっちゃったんだよ・・・」 「「ゆ、ゆわあぁああああああん!!!」」 子どもたちは泣きじゃくり、大人たちもまたおなかをすかせています。しかし辺りはうす暗く なってきており、本当にゆゆこが現れかねないので、仕方がなく空腹にたえて眠りにつくのでした。 一方、少女のおうちでは 「れーせん、てつだってくれてありがとうさー♪いっぱいたべるうさー♪」 「げらー!!!げーらげーらげーら!!!」 そう、ていとれーせんの考えた悪だくみでした。 村ゆっくりたちがおうちから出払っている隙をついて、食べものを運び出していたのです。 「うーしゃ、うーしゃ、しあわせー♪」 「げーらげーらげらげらげらげらー♪」 他の村ゆっくりたちがおなかをすかせている中、2人はたらふく食べて眠りにつくのでした。 何日かして、再び少女の叫び声が村に響き渡りました。 「たいへんうさ、たいへんうさ! ゆゆこがくるうさ~!」 村じゅうのゆっくりたちが急いで駆けつけましたが、そこには同じく少女が 笑い転げているだけでした。 「あはははは、また、だまされてやんのうさ~♪」 「またうそだったんだね!!ぷんぷん!!!」 「つぎやったらただじゃおかないだぜ!!!」 「うそつきなていとはすっきりできないわ!!!」 村ゆっくりたちはひとしきり怒りを表現すると、とぼとぼと我が家を目指し、歩いていきました。 しかし、例に漏れることなく 「ど、どぼじでごはんがないのおおおおおおおお!!!」 「ゆわあああああん、まりしゃのごはんがあああああ!!!」 「おにゃかしゅいたよおおおおきゃあああしゃあああん!!!」 村の貯蔵庫は無事であったものの、我が家の食料はすっからかんです。またしてもゆっくりたちは、 空腹に耐えながら夜を明かさなければなりません。 「うーしゃ、うーしゃ、しあわせうさー♪」 「げーらげーらげらげらげらげらげらー♪」 「こんなうまくいくとはおもわなかったうさ。みんなばかでたすかったうさー♪」 「げらげーら♪」 村ゆっくりたちが腹をすかせるのを尻目に、ふたりは晩餐を終え、幸せな眠りに就くのでした。 この後も少女の叫び声が何度か聞こえ、その度に村ゆっくりたちは駆けつけましたが、 すべて少女の狂言なのでした。更に少女に呼び出されると決まって、 村ゆっくりたちの家中の食べ物が無くなります。村で最も賢かったぱちゅりーは、 漸くていたちが怪しいのではないかと気づき始めました。 ある日、少女がいつものように食糧の番をしていると、村のはずれに本当に一頭の ゆっくりゆゆこがやってきました。 「うさっ!?やばいうさ、やばいうさ~!!」 少女はギョッとしましたが、ゆゆこのほうはまだ少女に気付いていません。 少女は冷や汗をかきながら、ゆゆこに気付かれないようそっと後ずさり、くるっと向きを 変えて駆け出すと、村の中心まで来て大声で叫びました。 「たいへんうさ!!!たいへんうさ!!! ゆゆこがきたうさあああああ!!!」 ところが少女の声は聞こえているはずなのに、誰も本気にせず出てきてくれません。 少女は泣きながら絶叫しました。 「ほんとううさあああああ!!!ゆゆこが、あ・・・・・・・」 そこまでいって、少女は驚きのあまり口がきけなくなりました。目の前の木の上に、 れーせんが縛り付けられており、村ゆっくりたちが続々と集まってくるではありませんか。 「げらげーらぁ・・・・・・・」 「むきゅっ!?うさぎのあさぢえなんて、ぱちゅりーのあしもとにもおよばないわ!!!」 「どういうことか、ゆっくりせつめいしろなんだぜ!!!」 「それどころじゃないうさ!!!それどころじゃないうさあああああ!!!!!」 ふたりの悪だくみに気付くのに長い時間かかったぱちゅりーのちえなんてたかが知れていますが、 ていにとってはそれどころではありません。こうしている間にもゆゆこたちは 「こぼねー、こぼねー♪」 と鳴きながら食糧庫を食い尽し、村に近づいています。 「うるさいよ!!!うそつきていはゆっくりしね!!!」 「ゔざっ!!」 ひとりのれいむが突進を仕掛け、ていは吹き飛ばされてしまいました。それを皮切りに、続々と 村ゆっくりたちがおそいかかってきます。 「とっととしねだぜええええ!!!」 「いなばうああああああああああああ!!!」 まりさはていのほっぺを噛みちぎります。傷口からはどくどくと、桃色のさくら餡が漏れ出しています。 「そんなのありすの苦しみに比べたら、痛くないわ!!!」 「だずげでええええええ!!!え゙え゙え゙えええりいいいいん!!!」 誰のことかはよくわかりませんが、本能によるものでしょう。 ありすは大きく口を開けて、ていを大きな耳ごと丸かじりします。こうなっては彼女の運命も 決まってしまったも同然です。 「むーしゃ、むーしゃ、ぜんっぜんおいしくないわ!!!」 「うざあああああああああああああああ!!!」 辺りにさくら餡がぶち撒けられ、爽やかな甘い香りが立ち込めます。その言葉から察するに、 ありすにとってこの上ない御馳走となったに違いありません。 「ぺええええええええええ、ぺにすっ!!!」 「い゙、い゙な゙ばゔあ゙!!!」 更にみょんが、残ったていの喉目がけて木の枝を突き立てます。これがとどめとなり、 ていは力尽きました。しかし本当の恐怖は、これからです。 「げ…げらげら…げらげえええええらあああああああああ!!!」 「うるさいね!!!つぎはおまえのばんだよ!!!いのちごいしてもむだだよ!!!」 「ゆっくりしねだぜ!!!」 れーせんは紐の中で暴れまわり、耳をつんざくほどの絶叫をあげました。村ゆっくりたちの視線は れーせんに釘付けなため見ることはできませんが、さくら餡をむさぼるありすの背後で、 ゆゆこがゆっくりと、大きな口を空けているところです。 「ぺっぽおおおおおおおおおおん♪」 「うっめ、うっめ、めっちゃ…ゆ゙っぎゃあああああああ・・・」 ありすの絶叫が聞こえたと思うや否や、一瞬にしてゆゆこの口の中に消えていきました。 「むーしゃ、むーしゃ、ぺぽぺぽーん♪」 「「「ゆゆっ!?ゆっくりにげるよ!!!」」」 「「こっちこないでだぜ!!!」」 「ゆゆー♪」 ありすの絶叫でようやく異変に気づき振り返ると、三頭の大きなゆゆこが大きな瞳をぱちぱちさせ、 これまた大きな口を開けながら近づいてきます。 「げえええええええりいいいいいいん・・・」 ばきっ、ばきっ 「むーしゃ、むーしゃ、こぼねええええええ♪」 続いて縛り付けられていたれーせんが犠牲となりました。れーせんは枝ごとゆゆこに噛み砕かれ、 宇宙の藻屑となりました。 「ゆびゃっ!?こっちこないでね!!こっちこないでね!!」 「れ、れいむのほうがうまいだぜ!!!まりさはまずいだぜ!!!」 「れーみゅはおいちくにゃいよ!!!ゆっくちやべでにぇ!!!」 「まりしゃはたべもにょじゃないよ!!!こっちこにゃいでにぇ!!!」 「おかあさんのおくちのなかにかくれるだぜ!!!」 「ちちちちちちちちちちちちんぽぽぽぽぽおおおおおおお!!!」 ゆっくりたちは顔を真っ青にして逃げ惑い、あるものは家の奥に、あるものは木に登り、 あるものはできる限り遠くへ逃げようと駆け出しました。 「ぺぽっ!」 「ぺっぽー!」 「ぺぽぺぽぺっぽー!」 「「「ゆかああああああああああああああああああああああああ・・・」」」 ビュウウウウウウウウゴォオオオオオオオオオオ・・・ 全てが無駄となりました。 三頭のゆゆこたちは互いに背を向けてトライアングル・フォーメーションを組むと、更に大きく口を開けて 息を吸い込み始めました。その勢いは凄まじく、特大の台風のごとく猛烈な暴風に包まれます。 「「「わーい♪おそらをとんでるみた…ゆぎゃああああああ・・・」」」 「「「「おぎゃあああじゃああああああん・・・」」」」 「までぃざのぼおおおおじいいいいいいいい・・・」 「もっどゆっぐじじだがっだ・・・」 「ま、まりさはまずいだぜえええええええええ・・・」 「ぺえええにいいいずうううううううううう・・・」 「わがだないよおおおおおおおおおお・・・」 「でいぶのおりぼん…ゆぎゃああああああああ・・・」 逃げ遅れたゆっくりたち、遠くへ逃げようとしたゆっくりたち、 枝葉や泥でできた家は吹き飛び、木は根こそぎ倒され、 家の中に逃げ込んだゆっくりたちまでも… 五十人ほどいた村ゆっくりたち、全てが桃色のブラックホールへと消えていきました。 「「「こぼねー♪」」」 それから四半刻も経たない頃でしょうか。暴風は吹き止み、三頭のゆゆこたちはかつてない程の 御馳走におなかを膨らませ大満足です。 後には根こそぎ倒された木々が残るのみで、その葉っぱ一枚とて残りませんでしたとさ。 おしまい♪ あとがき ふとてゐのことを考えていたら、某童話に結びついてしまいました。 戦ったとしても、結局ゆゆこ相手ではひとたまりもありません。 もしていの言うことを聞いて一目散に逃げ出していればあるいは…? by まりさつむりの人 他に書いたもの ゆっくりいじめ系1293 ゆっくり昆虫型出産 ゆっくりいじめ系800 まりさつむりの記憶 長編読み物 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりばいぶれーしょん 虐待 ゆっくりいじめ系932 愛しのありす 愛で×虐め 白玉楼系5 みょんとの出会い 制裁読み物 アリス系16 アリスのゆっくり水爆弾 虐待 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/th_izime/pages/1103.html
小野塚 小町は局にいた。 仕事の報告の為に上司の四季映姫の所へ出向き、その勤務態度についてこっ酷く叱られたばかりである。 廊下を歩く小町の足は、とても忙しない。早くここを出たいと言わんばかりに。 仕事をサボってばかりの小町が、業績最下位ダントツなのは当然だ。 長い説教を聴き終え、ため息をつく。 「 なんかあたいの事を「やれば出来る死神」 とか言ってる奴もいるらしいけど… 勝手な事言わないでほしいよホント 」 頑張って仕事して、やっと並の死神に追いつけるかどうか。 当然そんな者が、同じ死神達の職場で居場所を与えられる筈が無い。 マイペースに仕事をしていては、並の死神と比べるのが失礼な程の差が出てきてしまう。 一生懸命仕事をしてもロクに成績が上がらず、回りから孤立した状況は話好きで明るい小町には厳しい環境だった。 結果として他に担当する死神のいない、雑用に等しい船渡しの仕事を押し付けられ 誰もいない船付き場で、喋らぬ魂を相手に独り言のような会話を繰り返す破目になった。 話し相手のいない場所は、居場所の無い職場よりも辛いものであった。 小町はそんな寂しさを紛らわす為に昼寝をして時が過ぎるのを待ったり、上司が叱りに来るのを待ったり、 時には話相手を求めて幻想郷に下りていったりもした。 「 あたいだって駄目な事って解ってんだけど、どーにもね… 」 何とかしなくてはいけない。このままでは駄目だ。 人に言われずとも、頭で理解していても、それを直す術が中々出てこない。人間にもそんな者は多いんじゃないだろうか。 しかし、仕事がデキる訳でもなくサボってばかりの落ちこぼれには総じてロクな事が巡ってはこない。 「 よぉッ 小町 」 「 あっれー? 仕事中じゃないの、お前 」 「 またおサボリですかァー? いやーやっぱ仕事の出来る奴は違うねェ 」 図体の大きなガラの悪い死神が3人、小町に大きな声を向ける。 びくりと体を震わせると、下手な愛想笑いを浮かべて顔を向けた。 「 いや…仕事はもう済んだからさ。報告に… 」 「 えー? 本当ですかァー? 」 「 サボってる奴はすぐ嘘吐くからなァーッ 」 一人が小町の肩を掴むと、残りの二人も周りを囲んだ。 「 いや本当だって…… ちょ、もうあたい帰るからさ、離して… 」 こういう相手も出てきたりする。さっさと外に出てやり過ごそうとした、一番会いたくない三人に出会った事に狼狽する。 弱々しくもがき、手を振り払った小町を、通せんぼする様に二人が立ち塞がる。 人間に比べれば腕力のある小町だが、同種族の敏腕死神に比べれば非力なものだ。 「 オイオイオイオイ、何逃げようとしてんだよォ~ 」 「 お前がサボってるせいで同じ担当区の俺らの業績にまで影響出るんだよッ! 」 「 只でさえ他の担当区の方が仕事量も多いってのに、大迷惑だボケッ!! 」 小町の頭を強引に掴むと、勢いよく地面に引き倒した。 「 うぁっ……! …いや、ごめんよほんと… 勘弁しとくれよ 」 相手の腕力が強い事もあるが、何より言い分は正しいのだ。 言い返す事も抵抗する事も出来ず、ただ許しを請うばかり。 「 毎回毎回同じ事ばっかり言いやがって、閻魔様からも注意受けてる癖に 」 「 だいたいなんでお前みたいなのがクビにならないんだ? あの方、公明正大って言ってる割にはこれ、贔屓って奴じゃないのォー? 」 「 全くだ。 俺達が同じ事やったらまずクビは間違いないだろうによォーッ どうやって閻魔様を口説いたんだ? 教えてくれよ 」 小町の目の色が変わる。 自分の事だけでなく、映姫の陰口まで叩いた事に怒りを感じたのだ。 ゲラゲラと下品な笑いを浮かべる死神達に、小町は飛び掛った。 「 っ… 四季様の事を悪く言うな! 」 死神の肩に掴みかかったが、その直後に小町の全身に衝撃が走り、廊下の壁に背中を打ちつけた。 何が起こったか解らずにズルズルと崩れ落ちる最中、腹部に激痛が走った。 どうやら腹を蹴り飛ばされたらしい。 「 うぅっ…… ぐ……! がは…っ 」 立ち上がる事も出来ず、蹲る小町に悪態を付き、唾を吐くと 「 逆ギレしてんじゃねーよ 」 「 オラ立てよッ! 」 ツインテールの片方を乱暴に掴むと、勢いよく引っ張りあげた。 「 あぁっ! うぅ…! 」 強引に立たせた小町の体を、もう一人の死神が持っていた鎌の柄で何度も殴りつける。 「 痛っ…!! きゃん! や、やめて… あぅっ ぐぅぅ…! 」 再び床に倒れ、頭を抑えて丸くなる小町を、三人は何度も柄で殴り、突き、蹴りつけた。 「 ったく、何やったって死なないのは残念でしょうがないぜ! 」 「 あーあー、新品の服なのに思いっきり掴みやがってよォー。シワになっちまったじゃねーか 」 「 もうちょっと激しくヤキ入れておくか 」 突然抵抗された事に苛立った死神達は、未だに気が済んでいないようだった。 鎌の刃を小町の手の平の上に突きつけた。 「 っく…な、何する気… 」 「しばらく船漕げない手にしてやるよ、そしたら流石にお前もクビになるだろ 」 「 よかったな! 永久に休日だ!! 」 三人が笑うと、小町の体と手を二人が押し付けた。 手に鎌を突き刺すつもりらしい。 「 うぁっ…!! やだ、やめとくれよ、洒落にならないってば!! やめてってば!! 」 目に涙を浮かべながら暴れるも、腕力で勝っている死神二人に押さえつけられてはどうにもならない。 鎌が振り下ろされる瞬間 「 何をやってるの貴方達は!! 」 聞くに堪えない程大きな叫び声が、廊下に響き渡る。 「 ゲェッ! 」 「 うわ、閻魔様! 」 映姫がこちらに向かっていた。 廊下を広い歩幅、かつ早足で進み、遠くから写る姿にも怒りと威圧がハッキリと感じられる。 「 ……う 」 小町が泣きそうな顔を上げる。 回りの死神は慌てふためき、必死に言い訳を述べる。 「 いや、違うんですよォーッ これはちょっと はい 」 「 そ、そうなんですよ。こいつが、小野塚クンが不真面目なものでちょっと 」 「 私的に制裁を加えた、と…言う訳ね 」 ギロリと細い目を光らせると、三人は黙ってしまった。 「 要するに、小町の罪を裁いていた、と言いたいのね。 …断罪者気取り? 私を差し置いて、貴方達も偉くなったものね 」 「 申し訳ありません… 」 ペコペコと頭を垂れる死神達。 「 それで、貴方達は私に聞きたい事があるんじゃないのかしら? 」 「 は…? 」 「 小町がどうやって、私を口説いたとかどうとか… 」 「 い、いやッ!! それは断じてその 」 「 言い訳など聞きたくはありません!! さっさと仕事に戻りなさい!! 」 三人の死神は閻魔の怒気に怯え、謝りながら早々に去っていった。 「 し、四季様… 」 「 小町 」 ほら、 と映姫は倒れた小町に手を伸ばす。 「 う…… っ 」 その手を小町が掴むと、立ち上がる前にぼろぼろと涙が零れ落ちた。 「 しっかりしなさい 」 やれやれ、と映姫は小町の体を抱き上げ、姿勢を正させた。 小町の服に付いた汚れを手で払う。 「 ううぅぅぅ…っ えぐ、しきざま…… うぇぇぇん…! 」 自分の惨めさと、助けてくれた映姫への感謝から小町は感情を抑えられずに大泣きした。 映姫は呆れる訳でもなく、同情する訳でもなく、 ふっ と笑顔を向けた。 「 大丈夫? 」 「 っ…はい… はい… 」 何度も縦に首を振る。 「 随分とこっ酷くやられたわね 」 「 あたい…… 駄目な死神ですから 」 悲しげに泣き笑いを見せる。 「 いいえ、貴女はやれば出来る死神よ 」 「 …… 」 四季様がそんな事言い出すとは。 やれば出来る… あまり聞きたい言葉ではなかった。 「 …買い被り過ぎですよ。 あたいの本気なんて、他の皆より全然 」 「 違うの小町。 他の者より実力が多少低くたって、そこで頑張る事を止めてしまっては駄目なの 」 「 … 」 「 成せば成る。 けど、成さなければ絶対に何も成らないの。数多の人生を見てきた私が保障してあげる。 挫けず、学んでいけば、貴女はやれば出来る子だ と。 この現状は、貴女にも原因があるのです。 諦めとは、即ち『明らめる』事。 絶望し、立ち上がる事を止めてしまう事は… 正しい諦めではありません。 …判る? 小町」 「 … 」 「 私は公明正大が故に、貴女を特別に扱ったりはしません。 …でも、私は公明正大が故に、貴女を絶対に蔑んだりはしないわ 」 昂ぶっていた小町の感情は、映姫の言葉に落ち着きを取り戻していた。 しかし、その目からは涙は止まらない。 「 寂しい時は、話し相手くらいにはなってあげるから。 ね? 」 小町は映姫の胸に顔を埋めた。映姫は小町の頭を そっ と抱きしめる。 「 貴女も、もっと勉強しないとね 」 「 明日から… ちょいとだけ頑張ってみます 」 「 ちょっとじゃなくてちゃんと頑張る事!! 」 泣き笑いで微笑む小町を、映姫はポカリと悔悟の棒で叩いた。 「 ……何のつもりです? 」 局のとある部屋の片隅で、映姫は二人の大柄な閻魔に詰め寄られていた。 「 何のつもりですぅ? だとさ 」 「 いやはや、偏狭の担当区の方は、やはり態度も大物ですな 」 胸倉を掴まれ、映姫の体が浮きそうになる 「 く……っ 」 苦しそうに呻く映姫に、閻魔が敵意を現し睨み付ける。 映姫は首を締め上げられる事よりも、その黒い感情を同じ閻魔が出している事に顔を顰めた。 「 お宅の担当区がキッチリ業績出してくんないとねぇ、こっちも困るんですよねぇ 」 「 けほっ… 何を、言い出すかと思えば… 」 二人は幻想郷の存在する場所、その周囲である外の担当区の閻魔だった。 広い土地を一人二人のシフトでは限界がある故、閻魔は一つの土地でも幾人に分かれて担当する。 多くの閻魔がその土地で働いているが、閻魔の給料や成績はその土地全域によって決まる。 よって、同じ区域で働く閻魔一人一人の成績が全体の評価に関わってくるのだ。 「 仕方が無いでしょう? 幻想郷は… 元より人口が少ないんですから。私の裁く量が少ないのは必然で… 」 「 おやおや、閻魔が言い訳とは感心しませんな 」 「 …何の、事です? 」 映姫は隠し事など毛頭する気は無かった。 が、すぐに相手が何を言いたいのかを悟った。 「 お宅の死神だよ。 船渡しのポジションがサボってちゃ、裁く魂がいないのも当然ですねぇ 」 「 それは…… 小町には、私の方からしっかりと 」 「 しっかりと何だァ!? 以前から全然改善されて無いだろうがッ!! 」 突然大声を上げると、閻魔は映姫の頬を引っ叩いた 「 あうっ…!! 」 よろめく映姫を強引に立たせ、怒鳴りつける 「 ったく、こっちの担当区はクソ忙しい上にどいつもこいつも身勝手な人間ばかり裁いてストレス溜まるってのに 」 「 お前のお陰でこっちの給料にも影響が出る! 楽なトコを担当してる堕ちこぼれが、足引っ張るなッ!! 」 じんじんと熱を帯びる頬の痛みに、映姫は屈する事無く鋭い視線を向け、閻魔に問う。 「 …貴方達は、一体何を想い… 人を裁くのです? 」 「 あ!? 」 「 仕事だから、だッ! 働かないと金が入らんだろうが! 」 「 ……。 そう、ですか…… 」 映姫は、悲しそうな目をして顔を俯ける。 四季映姫は閻魔としては「不良」である。 善行を説いて回るお節介さから、真面目な優等生かと死神にも思われていたが 本来彼岸の審判者が、此岸に顔を出し、裁きの対象と関わる事自体が閻魔から見て褒められた事では無いのだ。 映姫自身もその事を理解している。故に、冥界の庭師に似たような説教を垂れた事もある。 映姫はそのお節介な性格故に幻想郷という偏狭に左遷されてしまったのだ。 閻魔の仲間内でも評判は悪く、人口の少ない幻想郷の為、今回のように成績の事で他の閻魔に絡まれる事も珍しくはない。 映姫は幻想郷を担当する前に、この二人の閻魔が「 人の為 」という理念の元に働く事を志していた、 閻魔として優しく、誇り高い姿だった頃を思い出し、心を痛めた。 「 金の為……。 昔は良かった などと言うつもりはありません。ですが、貴方達は… 」 「 今はこっちが説教してる側だろうがッ!! 」 話を途中で切られ、鳩尾に膝蹴りを叩き込まれる。 「 ぐぅ…!! う……かは…っ 」 「 その説教癖も、これで少しは身を潜めるかね 」 がくりと膝を付き、呼吸が出来ず咳き込む映姫。 「 おい、そろそろ行こうや 」 「 あぁ… っち、誰かさんのおかげで酒を買う金も無いけどな。 次の査定で足引っ張ったら銅飲ませるくらいじゃ済まさんぞ 」 閻魔二人が財布の中身に不満を言いながら去っていく背を、映姫は苦しそうな、どこか哀しげな顔で見つめていた。 多くの人生を見ている内に、人間に愛想を尽かしてしまう閻魔もいる。 身勝手な生き方ばかりしている人間の為に働く事を、馬鹿らしく思ってしまう閻魔も多い。 外の人間には総じてそういった罪深い者が多かった。 彼らも、言わば心を病んでしまった閻魔なのだろう。 負の感情は伝染する。 争いの火種となり、欲を生み、憎しみを繋げ、誤審を誘い、気を鬱がせる。 悟りを開いた天人や閻魔、菩薩にさえも穢れた念を芽生えさせる。 「 ……私は、飲まれないわ… 決して… 」 よろよろと体を起こし、担当区・幻想郷へと向かう。 最早閻魔達の職場も、死神に誇れるような職場では… いや、私も小町に論している場合では無いか。 そんな考えが頭に浮かんだが、映姫は自嘲的な自分の思考に はっ として、両手で顔を叩き、鬱ぎかけた自分の気を正し、歩みだした。 映姫様かっこいいな -- 名無しさん (2009-06-12 20 02 56) いぢめられるこまっちゃんも映姫さまもかわいいなぁ -- 名無しさん (2009-06-15 21 32 50) 台詞からみて、作者がジョジョ好きっぽい。 -- 名無しさん (2009-09-22 21 41 53) 小町「ふんッ!クソ四季様。悲しむ……と…思うか?あんたねこと………やられちまってヨオオオオオオ。あんたはすごく頭もよくて…私を叱ってくれるし、公正な判断力もある。そんでカリスマもある。だからアンタについて行けば安心と…思っていた…。」 小町「でも弱いじゃねぇかヨオォォけちまったんじゃあヨオォォォォォォォォもうそんなカス、好きじゃなくなったんだヨッ!ぜーんぜんネェェェェッ!」 -- 名無しさん (2010-04-06 20 44 50) 何言ってるん -- 名無しさん (2010-04-08 01 01 29) ↑↑こ、こいつは危険だッ! 必ず暴走する!! -- 名無しさん (2014-07-22 21 59 30) 2個上にヤバイ奴がいる まあいいか! -- ロリこん (2018-01-13 22 22 04) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2638.html
からだのしんからあったまろうね!! 25KB 虐待-普通 制裁 考証 理不尽 自業自得 誤解・妬み 飾り 家族崩壊 夫婦喧嘩 引越し ツガイ 野良ゆ ゲス 現代 虐待人間 独自設定 うんしー 『あみゃあみゃもっちぇきょいくちょじじい!!』の続きです。 ・俺設定多大にあり。 ・展開がおかしいのは仕様です。 ・出てくる人間もおかしいです。 ・天然あきが書いた他作品と繋がりがあります。 天然あき ・ゆっくりを身体の芯からあっためてあげる話。身体なんて無いだろなんてツッコミは無しの方向でお願いします。 男は正直驚いた。 まさか一度でも驚きなのに一日に二度もゆっくりがやって来るとは思わなかった。 最初は登山用の道具を探すのが目的だった。 だが気が付いたらゆっくりの相手をしていた。 相変わらず無意味な集中力がここでも遺憾無く発揮されたようだ。 その為食事を作る時間もなくなり、外食する気も起きなかった男は風呂を沸かし、カップラーメンで済まそうとやかんにたっぷりと水を入れて火をかけて沸騰するのを待ち、その間も登山用具を探す際に取り出したものを戻す作業をしていた。 すると、玄関から騒がしい声が聞こえたのだ。 「ゆっふっふっふ!ここをまりさのおうちにするんだぜ!!」 「ここならゆっきりできないかぜもこないね!!」 「そうだぜ!ここならぞんぶんにあったまれるんだぜ!!」 「そうだね!からだのしんからあったまろうね!!」 男はそれに驚く。 ドアを開けたのがゆっくりであるという事実に。 確かに男の家のドアは男の年齢とあまり変わらないボロさだ。 だがそれでもゆっくりが開けられる程たやすい物でも無かった。 それが開けられたのだ。驚くのも無理はない。 そして男がいるのにも構わずそのゆっくりは家の中に侵入してきた。 そして男は気付いた。 サイズが普通のゆっくりも大きいのに。それこそバランスボールよりも大きい。 れいむとまりさのつがいだが二匹いるだけで玄関がギッチギチだ。 これだけならさぞ中身も詰まって重いのだろう。 二匹がかりなら開いても不思議ではない。 通常のゆっくりの範囲を越えている。 小さい子供なら大怪我を負わせられるレベルだ。 だが男はそんな二匹に笑みを浮かべ、 「こんにちは、何か用?」 と尋ねたのだった。 しかし、 「ゆ?なんでまりささまのおうちににんげんなんかがいるんだぜ?」 男に気付いたまりさは明らかにこちらを見下した態度を取る。 「きっとゆっくりしているれいむたちのどれいになりにきたんだよ!!」 とまずありえない推測を述べるれいむ。 この二匹は人間というものを知らなかった。 せいぜいふらんやれみりゃに毛が生えた程度のものとしか考えていなかった。 ありあまる巨体でふらんやれみりゃをご飯にしていたまりさとれいむからすればれみりゃとふらんは恐るるに足らず。 森で怖いもの知らずだった二匹は森の中だけでは飽きたらず、わざわざ人間の住む町に来て人間を奴隷にしようとした。 その手始めがこの男の家だった。 森に近い訳でもないのにまりさ達はわざわざゆっくり出来そうという理由で男の家を選択した。 それがとんでもない間違いだと気付かず、二匹は男と対峙してしまった。 それは人間達にとっては幸い。 男と二匹にとっては不幸だった。 「それにしてはずがたかいんだぜ!!まりささまがいちどみのほどってものをおしえてやるんだぜ!!!」 そうまりさは叫ぶと男に襲い掛かる。 バランスボールよりも大きく、小型の獣位なら難無く追い払え、れみりゃやふらんをむしろご飯にするようなまりさの体当たりを受ければ流石に成人男性でも危険だ。 子供なら最悪の場合死者が出たかもしれない。 だが、 「ぶぎゅう゛う゛う゛!!?」 男は反射的にそんなまりさに踵落しを叩きこんだ。 「あ…」 男にとっては予想外の事態。 まりさにとっては有り得ない出来事。 しかし潰れたまりさの帽子がそれを真実だと告げている。 「ゆ…ゆぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 おそらく頭頂部への攻撃なんてものは生まれてこの方一度も受けた事なかったのだろう。 ぶざまに泣き叫ぶしか出来ない。 「だいじょうぶまりざあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「ご、ごめんわざとじゃないんだ!!?」 男は慌ててまりさ達に謝罪する。 本能的に危険を感じて反応してしまった為、どうしてこんな事になったか男には理解できなかった。 「ゆ、ゆうぅ…いちゃいんだぜ…」 「だいじょうぶまりさ!?まっててね!いまゆっくりできないじじいをせいっさいするからね!!」 そう叫んでれいむは男に体当たりを仕掛ける。 だが、 「うわっと!?」 難無く男はそれを受け止める。 まるで苦にした様子もない。 「ゆ?ゆ?どうしてたおれないのお゛お゛お゛お゛!!?」 今までこの体当たりでどんな相手もイチコロだったのだろう。 自慢の一撃が難無く止められたショックは思いの外大きかったようだ。 まぁゆっくりにしては巨大なバランスボールサイズの体当たりを普通に受ければ大人でも危ないだろうがその自信は間違いではないだろう。 だが、 「危ないよ。俺ならまだいいけど子供にやったら怪我するよ」 男には何の意味もなかったようだ。 子供をあやすような笑みはまりさ達にとって蔑視の態度にしか感じられなかった。 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 怒り狂ったれいむは男にまた体当たりをしてくる。 「だから危ないって、落ち着いてね」 そして全く効果がない。 「ゆがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「もう仕方ないなぁ…」 男は話を聞かないれいむに実力行使する事にした。 と、言ってもチョップしただけだが。 「ゆごぼお゛ぉッ!!?」 まぁ彼の場合それは人にやった場合意識を奪えるレベルのものであるが…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― と、いう訳で落ち着いた辺りでようやく会話が始められた。 「で、何の用なのかな?」 実を言うと結構危険な状態なのだが男はそんな事に気付きもせず話し掛ける。 「ここはまりさたちのおうちにするんだぜ!! じゃまなじじいさっさとでていくんだぜ!!!」 踵落とし一発で撃沈したとは思えないふてぶてしさをまりさは発揮しながら宣言する。 「そうだよ!!れいむたちにせいっさいされたくなかったらさっさとでてってね!!」 返り討ちに遭う確率100%なのに自信満々なれいむ。 「それはちょっと無理だね」 笑顔のまま即答する男。 「悪いけどここを出ていくのは無理だよ…」 曲がりなりに男の両親から任された一軒家。そうそう簡単に捨てられる訳はなかった。 「ゆう゛う゛う゛う゛う゛!!!やっぱりにんげんはばかなんだぜ!!まりささまがじひをみせてやっているのもわからないんだぜ!!!」 「そうだね!こんなじじいさっさとせいっさいしておうちのなかでからだのしんまであったまろうね!!」 さっき両方とも一撃で行動不能に陥っておきながら二匹共男を完全に見下していた。 「ちょ、ちょっと待って!どうしてそんなにこの家が欲しいの?君達は見た感じ大きくて強そうなんだからわざわざ人間から奪わなくってもいいじゃないか」 あくまで穏便に済ませたい男はまりさ達に尋ねる。 「このおうちにはにんげんごときにはもったいないんだぜ!!!だからつよいつよいつよ~~~いまりささまがいただいてやるんだぜ!!!」 「ゆ!ここならあめさんもつめたいかぜさんもこないからみんなでぽ~かぽ~かできるよ!!!」 うん、返答になってねぇ。 だが男はその言葉に笑顔で返す。 「そっか…つまり寒くてゆっくり出来なくなったから人間の家であったまろうとしたんだね」 「そうだぜ!!だからまりささまにここをあけわたすかどれいになるかえらぶんだぜ!!!」 まりさは男の言葉を半分も聞いていないのだろう。 だが男にとってはその会話は大事な意味を持っていた。 「それじゃあこの家を渡す事は出来ないけど暖めてあげるよ」 男はまりさ達にそう告げた。 そうした後の男の行動は早かった。 まりさが反応するよりも早く男はまりさを抱えて運び出した。 「ゆ!?なにずるんだぜ!!?ぎだないででまりざざまにざわるんじゃないぜ!!!」 まりさは暴れる。 バランスボール以上のサイズが暴れればそれはそれで危険なのだが男は苦にもしない。 段々この人、人外の域になってきてる気がするが気のせいだろう。 それはさておき男は笑顔で抵抗するまりさをある場所へ運んだ。 「ここに入ればすぐにあったまれるよー♪」 それは風呂場である。 男は寒くて人間の家に避難して来たのだと判断したのだ。 自宅を明け渡したりは出来ないが数日位なら居てもいいと判断した男は暖まりだがっていると思われるまりさを風呂に入れてあげる事にした。 この家は風呂好きの男の両親が広めにつくっており、成人男性が寝転がれる広さの浴槽と洗い場がある。余程こだわったのだろう。 だから人間とバランスボールサイズ以上のゆっくりが入っても窮屈にはならなかった。 「まりざをはなぜごのぐぞじじいい゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 れいむはれいむで男からまりさを助けようと体当たりを繰り返すが効果はない。 「ゆゆ、なんだがもわもわずるんだぜ!!?」 涌いた風呂の湯気に反応するまりさ。 「それじゃ、いくよ」 そしてそんなまりさを浴槽に投げ込む男。 「ゆごぼお゛お゛お゛お゛お゛!!?」 さてここで考えてほしい。 例えば君が寝袋に入ったような状態で自由に出来る行動がジャンプと顔の部分の操作と向きを変える位だとしよう。 そんな状態で風呂に投げ込まれたらどうなるだろうか? 「ごぼ!!?げぼ!?たずべ!!?」 答えはこうである。 まりさは身体が床についている状態で溺れている。 「ゆびい゛い゛い゛い゛い゛あぢゅい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 れいむはれいむでまりさを投げ込んだ際の跳ねた湯を浴びてのたうっていた。 「あれ?」 男は予想外といった反応をする。 流石にまりさがただ事ではないのに気付いたらしい。 「ちょっと熱かったかな?」 男はまりさをすくい上げる。 「ゆぴぃ…げひぃ…」 息も絶え絶えなまりさ。 何か足りない気もするがまりさはそれに気付く余裕もない。 どうして自分がこんな目に遭うのか全く理解出来ない。 「大丈夫かい?」 そんな中空気の読めない男の声がまりさの耳に入る。 「ゆっくり…でぎるわげない…んだぜ…」 まりさは息も絶え絶えになりながら答える。 「そっか…ゴメンね…」 男はまりさの言葉に素直に謝罪すると床に下ろした。 するとピイイイイという音が聞こえてきたのだ。 沸かしていたやかんが沸騰したのだ。 「おわあ!!?やっべ忘れてた!!!」 それを聞いた男は慌ててお湯を止めに走り出す。 まりさとれいむを置き去りにして…。 「ゆふぅ…ゆっぐりできなかったんだぜぇ…」 まりさが男が去った後でようやく落ち着く。 「ゆひぃ…ひどいめにあっだよ…」 れいむもどうやら持ち直したようだ。 「あのじじいはゆっくりしてないんだぜ!!かえってきたらせいっさいしてやるんだぜ!!!」 まりさはさっきやられた事の復讐に燃え上がっていた。 「………………」 だがれいむはまりさをじっと黙って見つめている。 「ゆ?どうしたんだぜれいむ?」 まりさがれいむのそんな様子に気付いて話し掛ける。 「ゆっくりじねええええええ!!!」 するといきなりれいむはまりさに向けて体当たりしてきた。 「ゆぴぃ!!?」 それをまともに受けてしまうまりさ。 「な、なにずるんだぜれいむ!!?」 まりさには訳がわからない事ばかりだった。 男にゆっくりできないお湯の中に落とされたと思えばつがいのれいむにいきなり攻撃されている。 訳がわからなかった…だが、 「ゆっくりできないゆっぐりはれいぶがぜいざいずるよ゛お゛お゛お゛お゛お゛ お゛!!!」 このままではれいむに殺される事だけは確かだった。 「ゆっくり「じねえ゛え゛!!!」ゆぶお゛お゛!!?」 まりさの反撃を想定していなかったのだろうか今度はれいむがまともにまりさの体当たりを受けてしまった。 「ゆぴぃ…いぢゃい゛…」 思わず痛みに弱音を吐いてしまうれいむ。 しかし本来ならそんな事している場合ではなかった。 「ゆっぐりじねえ゛え゛え゛!!!」 「ゆんべるばぁ!!?」 まりさの追撃を受けるれいむ。 どうやらまともにやり合えば勝つのはまりさのようだ。 「じねぇ!!じねぇ!!じねぇ!!」 「ゆぼう゛!?ゆべぶ!?ゆばぼ!?」 どうしてこんな事になったかまりさにはわからないが今れいむを殺さなければまりさが殺されるという事だけは確かなのだ。 このまま行けばれいむは死ぬだろう。 だが、 「ゆ?ゆゆゆ!!?」 まりさはふと視界の端に映ったあるものを発見した。 それは湯舟に浮かぶ自分の帽子だった。 溺れている最中に落としてしまっていたようだ。 ゆっくりは互いを帽子や飾りで認識する。 帽子がないゆっくりはゆっくりできないゆっくりとして殺されてしまう事が多い。 家族ですら帽子や飾りをなくすと襲い掛かる事がある。 れいむがまりさに襲い掛かったのはそれが理由だった。 「まりざのおぼうじい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 故にまりさにとって帽子は大事な物。何よりも優先しなければならないのだ。 だから自分の帽子が自分から離れてしまったのを発見したまりさは急いでそれを取りに行った。 帽子が浮かぶ浴槽の中に…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ふぅ…焦った焦った…」 火を消して男は一息つく。 するとテーブルの上に置いてある携帯がブーブー振動している。 「ん?誰からだ?」 男は携帯を手に取り誰からの着信か確認する。 「お、灰野からじゃん」 どうやら男の口ぶりから友人のようだ。 「よぅ久し振り。どうした突然電話して来て?」 友人との通話が始まった。それはつまりまりさたちのところへ戻るのに時間が掛かるという事でもあった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆごぼお゛お゛お゛!!?」 再び溺れるまりさ。れいむはボロボロ、男は長電話。誰も助けには来られない。 「ゆび!?だればだずべ!!?」 動揺も味方してまりさはどんどん溺れていく。 「ゆごぼぼぼぼ…」 そして遂に、まりさは湯舟の中に沈んでしまう。 呼吸が出来ずまりさは苦しみ出す。 本来ゆっくりに呼吸はあまり必要ではない。 だがエレベーター等の密室に閉じ込められた際に呼吸が出来なくなる錯覚が起こるようにまりさは苦しみ出す。 『たずげで!!だれがだずげでえ゛え゛え゛え゛え゛え゛え゛!!?』 まりさは必死に助けを求める。 わからなかった。この家に来てからまりさには何もわからなかった…。 どうして弱い筈の人間にまるで太刀打ち出来なかったのか? どうして選ばれたゆっくりである自分がこんな苦しい目に遭わなければならないのか? 何でれいむに殺されそうになったのか? 何でまた苦しい目に遭うのか? 何もかも理解出来ない。 ただこのままでは自分が死ぬという事だけは確実にわかる。 『やだあ゛あ゛!!?じにだぶない゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?』 まりさはもっともっとゆっくりする筈なんだ!! 人間を奴隷にして、世界を征服してずっとずっとゆっくりするんだ!!!とか本気で思っていた。 だがそれは絶対に叶わない。 様々な理由があるが一番の理由はもうすぐ死ぬからだ。 『やじゃ…じにぢゃくに゛ゃ…』 意識が霞んでくる。このままじゃ死ぬ。 それだけはまりさは嫌だった。 だが抵抗する手段はない。 『もっぢょ…ゆっぐり゛…』 まりさの最期の言葉はまりさ自身の夢想と同じように口から泡となって出ていき、泡沫のように消えて行ったのだった…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゴメンゴメン、待たせたね」 男が通話を終わらせ風呂場へ戻っていく。 すると、 「いつも思うけど俺がいない間に何があったの…?」 男は目の前の惨状に茫然とする。 長電話と言っても所詮10分かそこらの時間の会話だったのだがその間にれいむは死にかけ、まりさは湯舟に沈んでいた。 「と!そんな暢気にしてる場合じゃない!!」 男は慌てて湯舟に沈むまりさを掬い出す。 だが時既に遅く…ではないのだがゆっくりはいい加減なのでこの時点で応急処置を施せば助かるかもしれないのだが男にゆっくりに関してそこまでの知識を期待するのはいささか無茶な注文だろう。 だから男はまりさが死んだと判断した。 事実まりさは放置され数分後には死ぬだろうからあまり違いはない。 「ゴメンな…気付くの遅くて…」 男はまりさに謝罪する。 後でしっかり埋葬しようと心に誓う。 そして、 「大丈夫か!!?」 続いてれいむの方に駆け寄った。 「ゆぎ…」 かなりボロボロであったがまだれいむは生きていた。 「えっとこういう場合どうすれば…そうだ!!」 男は慌てて風呂場から出てある本を持って来た。 それはかつて一匹のまりさを飼った時に購入した“豆ゆっくり飼育書”だった。 「これに確かゆっくりの応急処置の仕方があった筈だ…」 男は慌ててページをめくる。 すると、 「なになに…衰弱している場合はオレンジジュースもしくは砂糖水を与えると回復します…これだ!!」 男は急いで台所に向かっていった。 「砂糖砂糖…!!」 男は急いで砂糖水を作ってれいむの所へ戻っていく。 オレンジジュースが手元にないのは既に男は理解していた。 だから砂糖水を使用する事にした。 「ゆぎい゛…いぢゃい゛ぃ…」 呻き声を上げるれいむ。 そんなれいむに対し、 「大丈夫かい?今あまあまあげるから!」 そう告げる男。 「ゆ゛…あみ゛ゃあ゛みゃ…はやぎゅ…よきょちぇ…」 れいむは息も絶え絶えながらもあまあまの言葉に反応して男に催促する。 あまりにも不遜な物言いだが男は一切気にせず、 「それじゃいくよ」 やかんの中にある砂糖水ならぬ砂糖熱湯をれいむの口に注ぎ込んだ。 本来カップラーメンを食べる為にやかんにたっぷりと入った沸騰してそう時間は経過してない湯はれいむには大ダメージだ。 「ゆぎょぼごお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 あまあまをもらえると思っていたれいむが感じたのは猛烈な熱さだった。 「あぢゅい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 そう叫ぶとれいむはいきなり跳びはね出す。 「おお、元気になった」 れいむの反応を見て見当違いの結論を出す男。 「なにずるのごのぐぞじじい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!?」 そんな男を糾弾するかのように叫ぶれいむ。 「よかったよかった元気になったみたいだね」 だが男にはれいむの怒り狂った様子など気にもせず笑顔で喜ぶ。 それはれいむからはおちょくっているようにしか思えなかった。 怒りで顔を真っ赤にしてれいむは叫ぶ。 「ふざげるな゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ぜいっざいじでやるう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!!」 れいむは叫び体当たりしてくる。 熱湯とはいえ砂糖を大量に溶かしたおかげか回復は出来たようだ。 衰弱した者に飲料を与える場合は冷水よりも暖めたものの方がいいと男はテレビで聞いたので熱湯に入れたのだ。 問題は男の予想よりも湯が熱く、れいむの耐性が低かったという点だったろう。 「じね!!じね!!じねええええええ!!!」 「そんなに焦らなくても大丈夫だからね」 男はれいむの体当たりをじゃれつきと勘違いしている。 というかバランスボールサイズの体当たりを苦にもしない辺り化け物じみてる。 「ほら、まだあまあまたくさんあるからね」 そう言って男は片手に持つやかんをれいむに見せる。 「ゆゆ!!?」 れいむはどうやらそれがさっきの熱さの原因だと気付いたようだ。 「い、いらないよ゛!!!べづのあまあまもっできでね!!!」 れいむはそれを拒否しようと叫ぶ。 しかしそれは無意味。 「遠慮しなくていいからね」の男の一言で終わってしまうから。 「大丈夫だよ。あまあま食べればもっと元気になれるよ」 男は笑顔のままやかんの熱湯をれいむに飲ませようとする。 れいむは何としてもそれを阻止ししなければならない。 「ゆっくりしないでれいむはにげるよ!!!」 れいむはそのまま逃げようとし、 「そんなに急いだら危ないよ」 「ゆひいいい!!?」 スタートするよりも早く止められた。 「どうしたんだい?そんなに焦って。ゆっくりはあまあま大好きだよね?」 「ゆ、ゆうううう!!!で、でいぶはいらないからさっさとそれどっかやっでねえええ゛え゛え゛え゛え゛!!?」 れいむは何とか回避しようと足掻く。 「だから遠慮はしなくていいって…」 男はれいむが拒否するのを遠慮としか思っていない。 「や、やばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?でいぶあづぐでいだいのやばあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?」 「ん、もしかして何処か怪我してたのかい?」 「ゆ!?」 れいむの叫びに男は反応する。 痛い、れいむのその言葉に男はもしかしたら口を怪我したせいであまあま(熱湯in砂糖)を拒否しているのではないかと考えたのだ。 これをれいむはチャンスと考えた。 「ゆ!ぞうだよ!!れいぶのおぐぢのなががいだいいだいなんだよ!!!だがらぞれはやべでべづのあまあまにじでね!!!」 痛くて食べられない筈なのに何故かあまあまは要求するれいむ。 「そっか…なら仕方ないね…」 男もれいむの言葉に頷く。 れいむはここで自分の考えがうまくいったと思い込んだ。 だが、 「でも怪我してるみたいだし手当位はしないとね」 男はそう言ってやかんの熱湯をれいむにかけた。 オレンジジュースをゆっくりに掛けると回復すると飼育書に書いてあったので飲めない以上、そうしてやるのが得策だと考えたのだ。 予測していた反応の斜め上を行った男の行動の結果、れいむは熱湯を全身で浴びる羽目になる。 「ゆぽお゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 熱湯を浴びて跳ね回るれいむ。 何度かまりさにぶつかってもいるがれいむ気付いていない。 「う~ん…」 男は跳ね回るれいむを見ながら不満げに呟く。 「やっぱりこれじゃ勿体ないな…」 男はこぼれ落ちた熱湯に対して少し勿体ない感を抱いていた。 「でも口は駄目みたいだし…」 何とかして全部味わってもらいたい男は飼育書に目を通してみる。 するとある事が書いてあった。 “もしもゆっくりが口から栄養を摂取出来ず、急を要する場合はあにゃるやまむまむ、もしくは死なない程度に皮を破いて直接栄養を補給させて下さい。”と書かれていた。 そこには“これは場合によってはゆっくりの身体に傷を付ける行為であり、一歩間違えば死んでしまう可能性があるのであくまで最後の手段として行ってください。衰弱し、抵抗も出来なくなった状態でない限りは行わないで下さい。”とも書かれているのだが男はどうやらその瞬間を今だと判断したようだ。 「そうだ!あれを使おう!」 男はあれを使えばもっと効率的にれいむに砂糖水、熱湯バージョンを吸収出来ると判断し、台所へ取りに向かっていった。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「ゆう゛ぅ…あぢゅがっだよぅ…」 れいむはようやく落ち着きを取り戻したようだ。 風呂場に置いてあったシャンプー等が散乱していた。 「ゆう゛ぅ…まりざどごぉ…?」 れいむは自分のつがいを必死に探す。 すぐ近くで死んでいるのにも気付かない。 まりさがいないのと男にやられた攻撃によって鬱憤がどんどんれいむに蓄積されていく。 「ゆゆう!!じゃまだよ!!!」 目障りなゆっくりできないゆっくりの死体に体当たりして鬱憤を晴らす。 「このままじゃすまさないよ…」 怒りに燃えるれいむ。 喉元過ぎれば熱さ忘れる。 れいむには恐怖よりも男に対する復讐心の方が強かったようだ。 そんな時、 「よし、これで大丈夫だ!!」 男が再びやかんを片手に現れた。 もう片方の手には漏斗が握られていた。 「ゆゆう!!こんどこそれいぶがぜいっざいじであげるよ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 先手必勝とばかりにれいむが体当たりする。 学習能力のない奴だ。 そんなれいむを男は両手が塞がっているにもかかわらず難無く受け止める。 「ゆゆ!?どうぢでえ゛ぇ!!?」 れいむは自分の渾身の体当たりが意味を為さなかった事に驚きを隠せない。 そんなれいむに対し男は笑顔のまま、 「ちょっとゴメンね」 漏斗をれいむの頭に突き刺した。 「ぶごお゛ぉ!!?」 漏斗の先がれいむの頭に減り込んでいく。 「ぐごぉ…ぴぎゅい゛!!?」 今まで受けた事もない痛みに白目を向いて口から泡を出すれいむ。 「これでいっかな。それじゃいくよ」 男はれいむの体内に漏斗を通じて熱湯を注ぎ込んでいく。 それはれいむにとって筆舌にしがたい激痛だった。 苦しみを与える熱が内側に染み渡っていく。 「ごぼえええええええ!!? しぎゅ!!あぢゅぐぢぇじびゅう゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!!?」 しかしただ破壊されるだけならよかった。 問題はその熱湯には糖分が多く含まれていた。 それがれいむの体を熱さで破壊しながらもれいむを若干ながら回復させていたのだ。 それによって起こる結果は苦痛の延長。 ただ回復させられ、その分苦しむ時間が増えただけだ。 リットル単位の量の熱湯が注ぎ込まれる。 「ひょぎい゛い゛!!?ふぎい゛い゛!!?」 苦しみのたうち回ろうとするが男に空いた腕と足でがっちりと固定されて悲鳴しか上げられない。 その結果男にとっての体内に栄養を叩き込む条件として書かれてあった「衰弱して抵抗も出来ない状態」に該当したと思い、どんどん注ぎ込んでいく。 男にとってはれいむの死に物狂いの足掻きも抵抗の内にすら入らないのだ。 「ほぎょお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!?」 熱湯がれいむを蹂躙していく。 口から泡を吐きまくり、白目を向いてビクンビクン小刻みに痙攣し、しーしーをとめどなく流し続ける。 だがその様子は男の視点からは見えず、何の意味もない。 「ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛、ゆ゛…」 そして遂にれいむのゆん生も終了までカウントダウンに入ったようだ。 『ど…うじ…べ…』 れいむはまともにはたらかなくなった思考で最後の疑問を問う。 こんな事になるなんてれいむは夢にも思わなかった。 生まれてからずっと恵まれた体躯でまりさ以外に負けた事もなかった(この家で 飾りのないまりさにやられた事は忘れている)。 挫折を経験しなかったから自分達はずっとずっと王として上り詰めていく事と疑 いもなかった。 それが、このザマだ。 『や…やじゃ…じにだぶ…な…』 れいむは死ぬ。ゴミのように死ぬ。今まで殺してきたゆっくりのように…。 とても幸せそうでゆっくりしていたぱちゅりーとちぇんの一家を殺した。 親を弄んですっきり殺した後子ゆっくり達を食べた。 子まりさを家族として育てて撒き餌の役割として獲物であるゆっくりをおびき寄せて狩りをしていたふらんの一家も殺した。 親を殺せば助けてやると子供のふらん達に告げて殺させた後「おやをころしたゲスはしね!!」と言って殺した。 撒き餌の役割をしていた子まりさは帽子を破り捨て、ふらんの羽根を突き刺した後森の中に放り捨てた。 全部楽しんで殺した。 何故なら自分達は強いから。絶対にこんな目には遭わないから平気で残虐な真似が出来た。 あんな奴等とは違う。自分達はこんな死に方はしない。 何故なら強いから。 そう思い込んでいたれいむは自分がこんな風に死ぬなんてあっていい訳がないと信じていた。 だが事実はここで死ぬ。 弄ばれて死ぬ。今までれいむが殺してきたゆっくりと同じように…。 『やじゃ…あんなの…みだいに…じにたぐない……』 れいむは認めない。 ゴミのように殺してきた奴等と同じようにゴミのように死ぬなど…。 だが意識が遠のいていく。それが死ぬ事だとれいむは気付く。 『やじゃあ゛…やじゃやじゃやじゃやじゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!?』 駄々っ子のように死を否定するれいむ。 無意味でしかない行動。 どう足掻いてもれいむはゴミのように死んでいく。 『…や…じゃ……』 最期の最後の時、れいむの意識が闇に永遠に落ちる瞬間、自身がゴミと何等変わらなく死ぬ事実の絶望はどれ程のものなのかわからない。 だが、それはきっとれいむの分不相応に肥大したプライドが招いた自業自得なものであるのは確かだった。 そうしてれいむは絶望というゆっくり出来ない感情を存分に感じて息絶えたのだった…。 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「俺は何を間違えた?」 男は一時間かけてまりさとれいむを庭に埋葬した後考える。 花壇以外の場所をわざわざ掘って埋めた。 体積が大きい分埋めた場所がこんもりとしている。 その後男は考える。 どうして自分はあの二匹を殺してしまったのか? 一体何を間違えたのか? 前者の答えはゆっくりの扱い方への不理解と常人とは違う思考の仕方が原因であり、後者の答えに至っては“何もかも”なのだが、男がそれに気付く事はない。 「取りあえず…風呂涌かしなおすてから考えるか…」 まりさが溺れた事により湯の量が減った為にいっその事もう一回涌かす事にしな がら男は自宅に戻っていく。 こうして、れいむとまりさは何も残す事なく、男の庭の一部をこんもりさせて消えていったのだった…。 END あとがき 今回はゆっくりを暖めて上げる心温まるお話でした。 展開や何やらがおかしいのはもう気にしないで下さい。お願いします。 今回の作品は「あみゃあみゃもっちぇきょいくちょじじい!!」の続きで、時系列的には「ゆっくりをハサミで切るだけの話」や「必然の死」よりも以前の話です。時間的には天然お兄さん初登場の「きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!!」は秋位で、そこから年末にかけての一、二ヶ月間となっています。 だから「あまあまおいてさっさとでていってね!!」の話で地中に埋められたぱちゅりーが「必然の死」で掘り返すまでは実質一、二週間程度しか経過してません。 それはさておきそれでは、今回このSSを読んで頂き誠にありがとうございました。 過去に作ったSS(今回のみ時系列順) ふたば系ゆっくりいじめ 521 元銀バッジまりさの末路 上 ふたば系ゆっくりいじめ 803 雨の日はゆっくり遊ぼう ふたば系ゆっくりいじめ 447 おきゃあしゃんのおうちゃはゆっきゅちできりゅね! ふたば系ゆっくりいじめ 311 きゃわいきゅっちぇぎょめんにぇ!! ふたば系ゆっくりいじめ 397 大好きだよ ふたば系ゆっくりいじめ 543 元銀バッジまりさの末路 中 ふたば系ゆっくりいじめ 347 れいむはしんぐるまざーでかわいそうなんだよ!! ふたば系ゆっくりいじめ 630 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 上 ふたば系ゆっくりいじめ 631 かいゆっくりじゃなくてごめんね!! 下 ふたば系ゆっくりいじめ 750 あまあまおいてさっさとでてってね!! ふたば系ゆっくりいじめ 677 元銀バッジまりさの末路 下 ふたば系ゆっくりいじめ 919 元銀バッジまりさの末路 終の1 ふたば系ゆっくりいじめ 920 元銀バッジまりさの末路 終の2 ふたば系ゆっくりいじめ 669 おうちのなかでかわれなくてごめんね!! ふたば系ゆっくりいじめ 1084 あみゃあみゃもっちぇきょいくちょじじい!! 今回ふたば系ゆっくりいじめ 1263 からだのしんからあったまろうね!! ふたば系ゆっくりいじめ 1164 ゆっくりをハサミで切るだけの話 ふたば系ゆっくりいじめ 1196 必然の死 天然お兄さんとかと関係ないSS ふたば系ゆっくりいじめ 293 おかざりがないとゆっくりできないよ! ふたば系ゆっくりいじめ 949 切断マジック(?) ふたば系ゆっくりいじめ 977 ゆっくり祭『どんど焼き』 ふたば系ゆっくりいじめ 1012 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その1 ふたば系ゆっくりいじめ 1033 すないぱーうどんげ養成所の最終試験 その2 ふたば系ゆっくりいじめ 1056 犬小屋と殺虫剤 天然あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る この男、生かしておいたら絶対何かやらかすから精神病院にぶちこんどいたほうがいいよね。 -- 2018-01-13 12 05 06 なぜか知らんがこれを読んでる間、「男=ぷよぷよのレムレス(好青年・洋菓子職人・魔法使いの実力者)」が頭にこびりついて離れなかった俺がいる なぜだろう、ゲームのやり過ぎかな? -- 2015-01-22 07 48 50 天然お兄さんが予想不可能な行動 をしてとても面白いです これは つづきがよめなくてごめんねー!!! と言うべきです -- 2012-12-09 19 05 55 「何もかも」間違っていてワロタw -- 2012-04-28 21 52 58 天は二物を与えなかったか… -- 2012-02-13 00 53 16 脳筋お兄さんwww -- 2011-11-03 16 52 12 お兄さんの脳みそは筋肉でできていた… -- 2011-02-27 23 12 44 お兄さんの頭が残念なのは今に始まったことじゃないだろww -- 2010-12-17 08 44 58 って言うか言葉で拒否してる上にあからさまに嫌って態度してるのに本気でわからないとはこのお兄さん頭が残念なんじゃね -- 2010-12-07 03 07 26 駄目だこのお兄さん・・・もう手遅れだwww -- 2010-11-30 07 29 31 お前の熱湯では私は死なん!! -- 2010-09-29 16 14 31 なんというハイスペックお兄さんw -- 2010-07-24 01 28 30 帽子が脱げたからじゃね?面白かった -- 2010-07-11 17 36 56 なんでれいむはまりさを殺そうとしたの? -- 2010-06-21 03 50 02 すばらしい。 -- 2010-06-17 09 56 08
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/1211.html
けがれなきゆっくりパーク 24KB 観察 理不尽 実験・改造 れいぱー 加工場 現代 独自設定 あらぬ方向にいった個人的考察 ※独自設定垂れ流し ※人間虐め要素あり 「ゆっくりしていってね!」 まどろむように穏やかで、しかし底抜けに朗らかな声が響く。 野生のゆっくりのような余裕のない響きも、野良のゆっくりのような下卑た響きも、飼い ゆっくりのような人に媚びた響きも、その声には全く含まれていない。 世に有象無象とあふれた生首ナマモノ、普通のゆっくりの発するそれとは明らかに違う声。 まさに純粋無垢なゆっくりとしたその言葉は、しかしこの場所でだけはありふれたものだ った。ここはゆっくりパーク。 「原初に限りなく近いゆっくり」が住まうという触れ込みのテーマパークなのだ。 けがれなきゆっくりパーク ゆっくりパークは、ドームの中に作られた広大な自然公園だ。敷き詰められた芝生に、木 々や茂みが適度に配置されている。小高い丘や噴水などもある。人間が散歩できるよう沿 道や、休憩できるベンチもある。見た目は普通の自然公園とそう変わるものではない。 その最大の特徴はもちろん、そこにいるゆっくりたちだ。 「ゆっくり!」 「ゆっくりしてるね!」 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくりー!」 元気にはね回るのは、れいむ種とまりさ種の二種だ。ゆっくりの始まりにしてもっともポ ピュラーなこの二種がこのゆっくりパークの主役だ。 ゆっくりパークを回るときは気軽に声をかけるといい。 「れいむ、まりさ、ゆっくりしていってね!」 「ゆ! おにいさん、ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 どこか得意げな、それでいて憎めない特徴的な笑顔、そして「ゆっくりしていってね」と いうセリフ。 ゆっくりたちは、遊びに来る人間を心から歓迎してくれる。 その実にゆっくりとした挨拶だけで、誰もがゆっくりとした気分になれることだろう。 それだけでも心が和むものだが、ゆっくりたちも触れ合うこともゆっくりパークの大きな 楽しみのひとつだ。 「れいむの髪、サラサラだなあ」 「ゆっくりー!」 「まりさのほっぺも! もっちもちで気持ちいい!」 「まりさもきもちいいよ! ゆっくりできるよ!」 「ほーら、たかいたかーい」 「ゆうう! おそらをとんでるみたい! ゆっくりー!」 素朴なゆっくりたちとのふれあいは、つかの間、人を童心に帰らせてくれる。 食べ物の持ち込みは禁止されているが、公園内ではゆっくりにあげるお菓子が売られてい る。機会があれば、これらを購入してゆっくりに与えることをお勧めする。 「むーしゃ、むーしゃ! しあわせー!」 食事のおいしさに打ち震えしあわせを叫ぶゆっくりの姿は、見ている方もしあわせ気分に 浸らせること請け合いだ。現代人が忙しさの中で忘れがちな食事の楽しさというものを、 ゆっくりたちは思い出させてくれる。 もちろん、ゆっくりたちは眺めているだけで楽しいものだ。 「ちょうちょさんまって! ゆっくりー!」 「ゆっくりまわるよ! こーろころ! ゆっくり!」 「のーびのびするよ! ゆっくりー!」 「むーにゃ、むーにゃ! すーや! すーや!」 ドームに包まれた自然公園は、柔らかな人工灯に照らされ、空調により常に春の気温と湿 度が保たれている。ゆっくりたちはこの常春の楽園でのびのびとゆっくりするのだ。 その姿を見て、触れて、聴いて、味わう。そうすれば、きっと誰もが心休まるしあわせに なれる。ゆっくりできる。 ゆっくりを見る、というだけならこのゆっくりパークでなくてもいいだろう。世にゆっく りはあふれている。 だが、それらは実のところ、その名ほどゆっくりしていない。 野生のゆっくりは厳しい自然を生き抜くのに必死で余裕がない。都会の薄汚れた野良もま た同じ。飼いゆっくりにしても、人間の都合にあわせて躾られており、従順ではあっても 純粋ではない。加工場の製品はもともとゆっくりさせてはもらえない。 どのゆっくりも、ゆっくりを餡子の底から求めながら、ゆっくりしているとはほど遠い状 況にある。だから人間の畑に忍び込んだり、人の家に押し入ったり、あるいは人間に無謀 な要求を突きつけたりする。その行動の根元は、よりゆっくりしたいから、だ。 このゆっくりパークのゆっくりたちは違う。これ以上ないほど純粋にゆっくりとしている。 だから人に今以上のなにかを求めたりはしない。無垢に無邪気にゆっくりとしているだけ なのだ。 だからここのゆっくりは評されるのだ。「原初のゆっくりに限りなく近いゆっくり」だ、 と。 純粋にして無垢。けがれなきゆっくりたち。 このパークのゆっくりを求めるものたちは多い。だが、残念ながら一般に販売はされてい ない。 禁じられれば欲しくなるのが人の性。だが、このゆっくりパークのゆっくりに手を出すの はやめたほうがいい。パークの各所には死角なく監視カメラが設置されており、ゆっくり たちのお飾りには発信機能つきのICタグがつけられている。ゆっくりたちは厳密管理さ れ、大切に守られているのだ。 まさに地上に現れたゆっくりたちの楽園。それがここ、ゆっくりパークなのだ。 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくりパークでは、いつもゆっくりたちの声が響き渡る。その声には、生きることのし あわせが、満ち足りた穏やかさがある。 だが、なにより。 ――みんなにゆっくりしてほしい。 その願いが、つまっている。 だからここ、ゆっくりパークを訪れる者はみな、ゆっくりできるのだ。 ゆっくりパークは口コミで伝わり、日に日に訪れるものは増えていった。 ・ ・ ・ 「おにいさん! ゆっくりしていってね!」 ある日のこと。ゆっくパークの従業員である男は、二匹のゆっくり、れいむとまりさに呼 び止められた。 「ああ、ゆっくりしていって……ね」 男の言葉を詰まらせたのは、れいむの頭から生えた茎と、鈴なりに生った赤ゆっくりだっ た。 「まりさ、れいむとずっとゆっくりすることにしたよ!」 「かわいいあかちゃんができたよ! ゆっくりしていってね!」 男は目をしばたたかせ、「ちょっと待ってろ」と告げると足早にその場を去った。 れいむとまりさはきりっとしたゆっくり特有の表情を浮かべてじっと待つ。 ほどなくして、男は乳母車のようなものを持ってきた。 「さ、ここに行こうか」 乳母車はれいむとまりさが乗るのにちょうどいい大きさだった。乳母車のクッションの心 地よさに、れいむとまりさはぐんにょり乳母車に同化するみたいに潰れた。 そして、男は乳母車を押し歩き始めた。 「ゆ? れいむ、まりさ、どうしたの?」 「ゆっくりしてる? ゆっくり! ゆっくりー!」 道すがら問いかけてくるゆっくりたちに、男は二人に子供ができたのでしばらくパークを 離れることを告げた。 「れいむ、まりさ! ゆっくりしていってね!」 みんなの祝福を受け、乳母車の上のれいむとまりさは実に誇らしげだった。 だが、男の表情はどこか暗い。 パークの入り口にさしかかったところ、男は先輩の従業員に呼び止められた。 「どうした?」 「先輩、この子たちが……」 「……ああ、そうか。子供ができたんだな」 「ええ、そうなんです……」 男の沈んだ声と表情を、先輩と呼ばれた男は見とがめた。 「……そうか、お前は初めてだったな。よし、俺も同行しよう」 「すみません……」 そして、二人と二匹はゆっくりパークの外へとでた。 外、と言ってもまだパークの敷地内、パークに隣接する建物の中だ。 無機質なリノリウムの廊下を足音が高く響く。 乳母車の上のゆっくりたちは、希望に瞳が輝かせている。この廊下の先にはどんなゆっく りしたことが待っているのだろう。そんな期待で全身を膨らませていた。赤ゆっくりの生 った茎は、そんな親ゆっくりの上で穏やかに揺れていた。 そして、その部屋についた。 「ゆ?」 「ゆ、ゆっくり……?」 れいむもまりさも疑問の声を上げた。 殺風景な部屋だった。床も壁もコンクリートの打ちっ放し。木片やアルミの板などの資材 が並べられている。 そこは部屋、というより舞台裏と称した方がふさわしい、どこか寒々とした場所だった。 これからゆっくりたちは子供を産む。だから、すごくゆっくりした場所に行くはずだと思 いこんでいたのだろう。きょろきょろと、物珍しそうに辺りを見回している。 不安は感じていないようだった。信じているのだ。世の中のなにもかもが、ゆっくりでき るものだと。 男は痛ましげな瞳でそんなれいむとまりさを見つめる。 「先輩、こいつら、どうにかなりませんか?」 「ダメだ。例外は許されない」 「でも……!」 「規則だ。お前がやらないのなら、俺がやる」 男達のやりとりに、れいむとまりさにもようやく不安の影が射した。二人の声も様子もゆ っくりしていないことがわかったのだろう。 「おにいさん、ゆっくりしてないの?」 「ゆっくり! ゆっくりしていってね!」 「ああ、大丈夫だよ」 自分ではなく、まず相手をゆっくりさせようというゆっくりたちに、男は弱い微笑みを返す。 「すぐ終わらせる。だから、心配しないで」 そして男は強く奥歯を噛みしめ、心を決めた。 部屋の一角からずた袋をひっぱり出す。そして、近くに立てかけられていたバットも手に 取る。それらを手にすると、ゆっくりたちの載る乳母車へと戻った。 「ゆっくり……?」 「ゆっくりしてね……?」 不安げなゆっくりたち。 男はもうためらわなかった。覚悟を決めていた。 そして、有無を言わさずゆっくりたちをずた袋に放り込むと、ひもで袋の口を縛った。 「ゆゆゆ!? どうしたの? なにするの?」 「ゆっくり!? ゆっくりしようよーっ!?」 戸惑いの声。だが、非難の言葉はない。信じているのだ。ゆっくりパークの男を。 男は唇を噛み、その言葉に耐える。 そして、バットを振りあげると、ゆっくりたちの入った袋へと叩き下ろした。 「ゆぐううううっ!?」 「まりさ、どうしたの? ゆっくりしてる?」 「いだいいいいい! ゆっぐじでぎないいいい!」 どうやらまりさに当たったらしい。男はゆっくり達の戸惑いの声を振り払うように、再び バッドを降り下ろした。 「ゆぎゃあああ! めがああああ! まりさのおめめがあああああ!」 「まりさ! まりさああああ!」 「いぢゃい! いぢゃい! いぢゃいよおおお!」 「やめてあげてね! まりさ、いたがってるよ!」 袋がうごめく。中では何が起こっているのか、外からではよくわからない。いや、見えな いからこそいっそうその声に、悲惨な状況が思い浮かべさせられる。 ゆっくりたちの苦しみの声に、男は手を止めた。 「休むな。一気にやれ。時間をかける方が残酷だ」 「わかってます!」 先輩に促され、男は再びバットを振るい始めた。 やすまず、何度も、何度もたたきつける。 「ゆべ! ゆぎっ! ゆぐうう!」 「ゆぎゃあっ! ゆびぃ! ゆびゅうう!」 ゆっくりたちは何度も叫んだ。ゆっくりパークでずっと暮らしてきたゆっくり。痛みも苦 しみもない、ゆっくりすることだけが全てだった無垢なゆっくり。 初めての痛みはどれほど激しく感じるだろう。今まで感じたことのない苦しみはどれほど のものだろう。理由もわからない暴力は、どれほど理不尽に思えることだろう。 それなのに。 「おにいざん、ゆっりじでえええ!」 「ゆっぐじ、ゆっぐじ、ゆっぐじぃぃぃ!」 ゆっくりたちは男を非難しなかった。ただ、男がゆっくりすることを願った。 それを叩き伏せるように、ただ一心不乱に男はバッドを振るい続けた。 やがて声は止み、袋も動かなくなった。 「確認しろ」 先輩の指示に、男は荒い息を吐きながらバッドを投げ捨て、袋の紐をほどいた。中をのぞ き込もうとし、 「ゆーっ!」 飛び出してきたものに驚きのけぞった。 れいむだ。 しかし、ひどい有様だった。どこもかしこもぱんぱんに腫れ上がり、その顔は袋に入る前 より一回りは大きくなっている。それとは逆に頭の後ろ半分は完全に陥没しており、ひど くアンバランスだった。 そんなひどい有様でありながら、まだかろうじて生きていた。 だが、限界は近い。袋から跳ねて出てきただけでも奇跡的といえる。ずりずりと這い進む 後には、体のそこかしこから漏れ出た餡子の道ができている。 「まりざあああ……あがぢゃん……」 乱れた髪に隠れて見えないが、おそらくその目も潰れてしまっているのだろう。どこへ向 かうともなくふらふらと這い進むばかりだった。 驚いたことに頭から茎はもげていなかった。だが、そこに実っていた赤ゆっくりは、いず れもれいむの黒髪に沈み込むようにして潰れていた。 あまりにも悲惨な姿だった。 見かねて、先輩が動こうとしたとき、男はバットを拾い、れいむの前に立った。れいむは 男の足にぶつかり、「ゆっ」と呻いて止まった。 「れいむ」 「おにいざん……?」 「すまない……こんなことを言えた立場じゃないが、でも言わせてくれ。すまない」 「どうじで……ごんなごど……ずるの……?」 地の底から響くようなれいむの問いかけに、男は震えた。バットを振りかぶり、男は努め て事務的に言った。 「……規則なんだ。『こどもをつくったゆっくりは処分する』。それが、このゆっくりパ ークで決められた、絶対守らなくちゃいけない規則なんだ」 「ぞんな……あがぢゃんは、ゆっくりできるんだよ……」 「そうかもしれない。でも、ここではだめなんだ」 「れいむたち……ゆっぐりしてたんだよ……」 「そうだったな。でも、だめなんだ」 男はバットを振り下ろそうとした。 れいむは顔を上げた。黒髪の隙間から、眼下からこぼれた右目と、潰れた左目が見えた。 機能してないはずのそれらが、男をにらんだ。男はバットを振りかぶったまま固まった。 「しねえ……」 ぞくり、と男の背筋を冷たいものがかけた。 その言葉。とてつもない恨みのこもったそれは、「原初のゆっくり」ならば決して発しな いはずのものだった。 れいむは、叫んだ。 「こんなことをするおにいさんは、ゆっくりしないでしねええええええ!」 その声に引きずり込まれるように、声もなく男はバットを振り下ろした。 そうして、れいむとまりさは「永遠にゆっくり」した。 ・ ・ ・ 「……あいつらは、いったい何なんですか……」 ゆっくりパークの外。「永遠にゆっくり」したれいむとまりさをゴミ捨て場に片づけたと ころで、男は先輩に問いかけた。 「俺は、あいつらは原初のゆっくりそのものだと思っていました。なのに、あいつらは普 通のゆっくりみたいに子供を作ってしまった。それに、それに、最後のあの言葉……!」 男は震える自らの身を抱いた。 「こんなことをするおにいさんは、ゆっくりしないでしねええええええ!」 あれは一生忘れられないのではないかと思った。 先輩はため息をついた。 「あれは原初のゆっくりなんかじゃない。触れ込み通り、『限りなく近い』ってだけだ」 「でもっ……!」 「落ち着け。お前もゆっくりにあんな言葉を吐かれるのは初めてじゃないんだろう? 元 加工場職員のくせに、ビクついてるんじゃない」 「!?」 男の目が驚きに見開かれた。 先輩はやれやれと肩をすくめた。 「ここのことをなにも知らずに働いてたのか。噂も聞いたことはないのか?」 「し、知りませんよ。ただ、俺はゆっくり加工場になんだか嫌気がさしてやめて……それ から、ここのことを知って、ぜひ働きたいって志願して……!」 「特殊なパターンだな。元加工場職員ってことで仕事に就けたんだろうが……採用したや つも、本当になにも知らずにお前がここに来たなんて、夢にも思わなかったんだろうなあ」 「さっきからなに言ってるんですか? 加工場加工場って……ここ、加工場となにか関係 があるっていうんですか?」 「関係もなにも、ここはゆっくり加工場の施設のひとつさ。表向きはまったく別系統の会 社が運営していることになっているが、な。ここの職員はみんな、加工場からの転属だよ。 ああ、お前は例外らしいがな」 男はあんぐりと口を開けた。 純粋で無垢なゆっくりがゆっくりと過ごすゆっくりパーク。ゆっくりの天国であるはずの ここが、ゆっくりの地獄である加工場のものだったとは、男は想像だにしなかったのだ。 先輩は完全にあきれていた。 「そもそもガキを作ったゆっくりをつぶすなんて規則がある時点で気づけよ」 「でもっ……それはパークの環境を適性数を保つためで……!」 「そんなの表向きの言い訳に決まってるだろ。ズレてんなあ……まあ、そんなだから加工 場を辞めて、なにも知らないままにここに就職なんておかしなことになってるんだろうけ どな。まあ、いい機会だ。一から教えてやる」 男は深々と息を吐き、ゴミ捨て場の外壁によりかかると語り始めた。 「まずこのゆっくりパークについてだ。ここはな、元々は野生のゆっくりの生産場だった んだ」 「野生のゆっくりを? なんでまた」 「野生のゆっくりは加工場産と比べて甘みの質が違う。あいつら、駆除を名目に大量に手 に入るものの、手に入るタイミングが安定しない。安定した供給を保つってことでここが できたんだが、結局採算があわなくて頓挫した」 「野生のゆっくりなんていくら駆除してもわいてきますしね」 「あいつら流に言えば『勝手に生えてくる』からな」 先輩はククッと笑った。 「で、廃棄されたその施設が、加工場で新たに生まれたゆっくりによって復活した」 「新たに生まれたゆっくり……でも、原初のゆっくりなんですよね? 新たにって言うの とは違うんじゃ……」 「何度も言わせるな。原初のゆっくりじゃない。限りなく近い、というだけだ。まがいも のだよ、あんなの」 先輩は顔をしかめ、吐き捨てるように言った。男にとっては好ましい、ゆっくりパークの ゆっくりたち。だが先輩は、それを嫌っているようだ。 「先輩。結局、あのゆっくりたちはどういうものなんですか? 俺にはどうしても、加工 場であんな純粋なゆっくりが生まれるとは思えません」 「純粋、か。ああ、純粋さ、あいつらは。紛れもなく純粋培養。無菌状態の箱入りゆっく りってやつだ」 「……?」 「お前、機械式生産場は知っているか?」 「……ええ、一応は」 今度は男が顔をしかめた。 機械式生産場。それは、加工場の新たな大量生産手段だ。 従来の加工場では、ゆっくりの大量生産といえばれいぱーありすが利用されることが一般 的だった。 ところが、ついに加工場の技術陣は精子餡の秘密を解き明かし、低コストで大量に生産す る術を確立した。 機械式生産場は、それを最大限に活かした大量生産の極地だった。 機械式生産場で母体として選別されたゆっくりは、生まれた瞬間に目と口とお飾りと髪、 およそゆっくりがゆっくりであるもの全てを奪われ、あんよも焼かれる。そして成長促進 剤とオレンジジュースによって急速に成長、成体まで育った時点で定期的に精子餡をそそ ぎ込まれ、子を産む。 見えず、動けず、喋れない。その苦しみの中で生み出されるゆっくりは、良質な甘さを持 つ。 この機械式生産場の最大の利点は、ゆっくりの成長・生産を厳密に管理できることと、そ の手間が少ないことだ。なにしろ母体ゆっくりはうごきもしゃべりもしない。成長するの も子を産むのもチューブでそそぎ込むオレンジジュースや精子餡で完全に制御できる。機 械式生産場は、ゆっくりをまさに饅頭を産む機械として運用するのだ。 今や、維持に手間がかかり品質も機械式に比べればバラツキのあるれいぱーありすは、大 量生産には不要なものとなった。大量生産においては生産の安定、品質の均一化の方が重 要事項なのだ。 だが、それでもやはり通常のすっきりーの方が高品質なものができやすい。れいぱーあり すは今では高級品の生産に使用されている。皮肉にも、ありす種の望む「とかいは」に近 い扱いを受けているのだ。もっとも、当のれいぱーありすはそんなことを知る由もないこ とだが。 男は機械式生産場の光景を思い出し、気分が悪くなった。 整然と並んだ母体ゆっくりと、機械的に産み落とされる赤ゆっくり。ゆっくりをまったく 生き物として扱わない、加工場ではなく「工場」と呼ぶべき光景。 男が加工場をやめるきっかけになったことのひとつだった。 だから、 「ゆっくりパークのゆっくりは、加工場の母体ゆっくりだ」 先輩の言葉を男はすぐには理解できなかった。 「……え? えと、あの……なにを言っているんですか?」 「だから、ゆっくりパークのゆっくりどものことだ。あのゆっくりどもは、加工場の母体 として数世代を過ごした末に生まれたものだ」 「だって……あいつら、機械みたいに扱われて……」 「そうだ。今まで誰も母体ゆっくりがどんなゆっくりか知らなかった。なにしろ生まれた 瞬間なにもかも失うんだ。わかりるはずもない。それがあるとき、品質チェックの一環と して母体ゆっくりを普通に育ててみることになった。そうしたら、あの通りさ」 先輩はゆっくりパークのドームを指さした。 男の脳裏にゆっくりたちの姿がよぎる。 実にゆっくりした、無垢で無邪気で純粋で、なにより相手をゆっくりさせようという気持 ちにあふれた、愛すべきゆっくりたち。 それが、機械の部品のように扱われた、その慣れの果てだなんて。 「どうして……なんで……」 男にはなにもかもわからなくなっていた。 呆然と空を仰ぎ、ぶつぶつとつぶやいていた。 「どうして、か。俺は知らねえ。まったくわからねえ。わかりたくもないね!」 先輩はまくし立てた。まるで、何かから目を背けているようだと男は思った。 「……あのゆっくりたちが、機械式生産場出身なのはわかりました。でも、どうして子供 を産んだらつぶしてしまうんですか? 生まれがどうあれ、あんなにゆっくりとした無垢 で純粋で、いいやつらなのに……」 先輩はくくっと笑った。 「無垢? 純粋? そんなゆっくりが、すっきりーして子を産むのか?」 「そ、それは……!」 「だめなんだよ。確かに、母体ゆっくりは原初のゆっくりに近いくらい、純粋にゆっくり とした存在だ。だが子供を作るようになったらだめだ。普通のゆっくりになっちまう。だ から処分する」 「だって、あいつらあんなにゆっくりして……」 「だめだだめだ。所詮ゆっくりだ。長く生きれば自分をゆっくりさせることを優先させる ようになる。子供を作るようになるのはその兆候だ」 「子供ができても、あいつらならみんなをゆっくりさせてくれるかもしれない!」 「いいや、ありえない。あいつらは原初じゃない。限りなく近いってだけだ。一般に販売 されないのもそのせいだ。飼われるうちにあいつらは普通のゆっくりになっちまう。ゲス なった例すらある。だからゆっくりパークに限定して開放してるんだ」 「でも、でも……!」 男は言い返したかった。 だが、耳に残るあの声が邪魔をする。 「ゆっくりしないでしねええええええ!」 死の間際、ゆっくりパークのれいむは普通のゆっくりだけが使う、最低の言葉を残したの だ。 「人間だって大人になれば汚れていく。いつまでも子供じゃいられない。綺麗なままでな んていられない。ゆっくりならなおさらだ」 先輩はそっぽを向き、独り言のようにつぶやいた。 「先輩……?」 「まあ、今日のところはお前はもう、帰れ。いろいろ考えを整理したいだろう。それで、 これからどうするか決めろ」 「これから、どうするか……?」 「お前はここ向きじゃないかもしれない。イヤなら辞めたっていい。ただ、ここの秘密は 墓までもってけ。ゆっくりパークの本当のことなんて、きっと誰も知らない方がいいに決 まっている」 先輩の言葉に、男はうなずきもせず、ただボウッとしていた。 ・ ・ ・ 「ああ、ちくしょう! なんだってんだ!」 あれから、男は家には帰らず飲み歩いた。 納得いかなかった。 もともと男はゆっくりが嫌いではなかった。だから加工場で働きもした。だが、気づいた のだ。 「嫌いではない」、ではなかった。「好き」だったのだ。あの小生意気で憎らしい生首饅 頭を、男はなぜだか好きだったのだ。それに気がついたら、ゆっくりが苦しみ続ける加工 場の仕事はやっていられなかった。 だからゆっくりパークのことを知ったときは喜び、そしてそこで働けるようになったとき は飛び上がってはしゃいだものだ。子供をつくったゆっくりを処分しなくてはならないと いうのも、適正数の管理のためやむをえないことだと思いこんで自分をごまかしていた。 しかし今日、現実を知ってしまった。 離れたはずの加工場から離れていられなかった。それも、自分が愛したゆっくりパークの ゆっくりたちが、加工場の、それも最悪の場所で生まれたものだなんて。 男はヘベレケに酔って、どこともしれない電信柱に寄っかかって座り込んでいた。 そんなときだった。 「や、やいじじい! ゆっくりしないでさっさとあまあまをよこすんだぜ!」 「あん?」 男に声をかけるものがいた。 男は首を左右に回してみるが、声の主は見当たらない。上を見て、次に下を見て、ようや く気がついた。 ゆっくりまりさだ。 「なんだおまえ、きったないなあ……」 酔った意識のまま、男はとりあえず見たままの感想を言った。 「なにいってるんだぜええ!? ぜっせいのびゆっくりのまりささまをつかまえて、なに を……」 「いや、お前汚いって。みたところ、山で暮らしてたんだろ? それを何の用意もなく町 中うろついて、すっかり埃まみれってわけだ」 「ゆ、ゆゆう!?」 まりさは激しく動揺した。図星だったようだ。酔ってはいても男のゆっくりに対する審美 眼は確かだった。 確かにこのまりさ、泥も油汚れもそう深いものではない。街に降りてきて間がないのだろ う。人間を侮り、不用意にあまあまを要求するのもその証拠と言えた。 「お前らはあ、そんなふうに地面をはいずってるからすぐによごれちまうんだよお……」 「ま、まりさはよごれてなんかいないんだぜえええ!」 「汚れてる汚れてる。地べたをはいずって、人間が吐き出した汚いものみーんな体中にこ すりつけて……」 「ゆがあああ! じじいい! だまるんだぜええええ! このまりささまのうつくしさも わからないばかでむのーなじじいは、さっさとあまあまだすんだぜええ!」 男は苦笑した。 ゆっくりパークのゆっくりたちとはえらい違いだ。 あそこのゆっくりたちは、純粋で無垢で、綺麗だ。こんな汚い言葉遣いなんて決してしな い。 そう、こんな人間が吐き捨てたような汚い言葉なんて決して使わない。 いったいこのまりさはどこでこんなに汚れてしまったのだろう。 体も汚れ、汚い言葉を使う心もまた汚いに違いない。 せめて、街に降りてこなければ体がこんなに汚れてしまうこともなかっただろうに。 「ああっ!?」 叫びとともに男は立ち上がった。 足下のまりさをまじまじとみる。 地べたをはいずるゆっくりは、土ボコリも車の排気ガスもまともに浴びることになる。だ から、体が汚れる。 では心はどうだ? 原初のゆっくりは「ゆっくりしていってね!」以外の言葉をほとんど使わず、実にゆっく りしていたのだという。 心は、どうして汚れた? 汚い言葉は、どこで覚えた? 酔いはすっかり醒めた。 男の中で、引っかかっていたものがつながった。男は、わかってしまった。 「お前は、お前らは……人に触れて、けがれてしまったのか……?」 先輩は言った。 ゆっくりパークの純粋で無垢なゆっくりたちは、機械式生産場で代を重ねたゆっくりだと いう。 機械式生産場では、その名の通り機械化されており、人間がゆっくりに触れることはほと んどない。 だから、母体ゆっくりは人にまったく触れないままに代を重ねたことになる。 そしてその純粋培養された母体ゆっくりも、飼えば普通のゆっくりのようになり、時には ゲス化してしまうという。 ゆっくりパークのゆっくりたちでさえも、やがて子供を作り、そして普通のゆっくりとな り、汚い言葉も使うようになってしまうのだろう。 先輩は言った。 「ゆっくりパークの本当のことなんて、きっと誰も知らない方がいいに決まっている」 そうだ、誰だってこんなこと知りたくないに違いない。 人に触れて、ゆっくりはけがれていく、なんてこと。 「お前らがそんなに醜いのは、醜く見えるのは……人の醜さそのものだからか……?」 「じ、じじいはなにをいってるんだぜ……?」 「お前らをそんなにけがしてしまったのは、俺たちなのか……?」 「じじいはわけのわからないことをいってないで、とっととあまあまをよこすんだぜええ ええ!」 男はまりさの要求には応えなかった。 ただ、冷めた瞳でまりさをじっと見つめた。 そして、 「……すまない」 まりさを踏みつぶし、永遠にゆっくりさせた。 ・ ・ ・ あれからも、男はゆっくりパークで勤めている。 男はゆっくりの醜さを、その正体を知った。 だが、男は好きなのだ。そんな醜さを持つゆっくりたちのことが。 男は考えようと思っている。美しさと醜さ。誰もが、ゆっくりさえも持つそれらとどう向 き合い、どう折り合いをつけ、どう受け入れるか。ゆっくりと、欺瞞に満ちたこの場所で、 目を背けることなく考えていこうと思っている。 「ゆっくりしていってね!」 今日もゆっくりパークでは、ゆっくりたちの純粋で無垢で、実にゆっくりとした声が響い ている。 了 by触発あき ・過去作品 ふたば系ゆっくりいじめ 163 バトルゆ虐! ふたば系ゆっくりいじめ 172 とてもゆっくりした蛇口 ふたば系ゆっくりいじめ 180 ゆっくりばけてでるよ! ふたば系ゆっくりいじめ 181 ゆっくりばけてでるよ!後日談 ふたば系ゆっくりいじめ 199 ゆっくりたねをまいてね! ふたば系ゆっくりいじめ 201 ゆっくりはじけてね! ふたば系ゆっくりいじめ 204 餡小話の感想れいむ・その後 ふたば系ゆっくりいじめ 211 むかしなつかしゆーどろ遊び ふたば系ゆっくりいじめ 213 制裁は誰がために ふたば系ゆっくりいじめ 233 どすらりー ふたば系ゆっくりいじめ 465 おぼうしをおいかけて ふたば系ゆっくりいじめ 469 おぼうしをぶん投げて ふたば系ゆっくりいじめ 478 おぼうしのなかにあったもの ふたば系ゆっくりいじめ 513 ネリアン ふたば系ゆっくりいじめ 534 ラストれいむロストホープ ふたば系ゆっくりいじめ 537 地べたを這いずる饅頭の瞳に映る世界 上記以前の過去作品一覧は下記作品に収録 ふたば系ゆっくりいじめ 151 ゆっくりみわけてね! 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る ↓原初の純粋なゆっくりは、子どもなんて作らないし、そもそもおちびちゃんなんて存在しない。原初の純粋なゆっくりは、『どこからともなく沸いてくる存在』だから、種の存続も気にならない -- 2012-09-25 17 55 56 あいつらは原初のゆっくりそのものだと思っていました。なのに、あいつらは普 通のゆっくりみたいに子供を作ってしまった。 いやこいつ馬鹿だろ。原初の存在なら、それこそ「ゆっくるする、させる」って本能に従って純粋におちびが欲しいと思うだろ。 原初のゆっくりがすっきりーもしなかったなら、どうやって種を維持してたの?ばかなの?しぬの? -- 2012-09-18 22 36 17 毎回この作者の話はよく練り込まれていて面白い。 人と関わるから穢れるってのは実は初期型の頃にもテーマに挙がったことがあるけど、いつしか汚い言葉を話す奴らばかりになってしまった。それはそうと純粋ゆっくりのテーマパークは俺得だよ。行きたいよ。 -- 2012-07-19 21 10 39 ゆっくりぎゃくたいにはんたいなんて、げすなじじいだね! -- 2011-08-09 18 38 34 ________________________ -- 2011-03-02 21 06 23 人間だって赤ん坊のころから世間とは完全に隔絶された 争いも差別もない働かずして衣食住が確保されている箱庭に閉じ込め 一切の苦労を知らずに育てば純粋な人間なると思うよ まあ純粋というよりかは世間知らずの馬鹿かもしれないけどw -- 2011-02-17 17 19 27 原初ゆっくりかわいいよ -- 2010-12-14 08 20 32 鏡…ですかゆっくりが、ある意味新しい解釈 -- 2010-11-26 08 01 26 むしろお兄さんのが今時珍しいくらい純粋な人間だな -- 2010-11-10 19 53 53 まぁ良いんじゃないかな。来る人達を幸せにできる職場なんだから、誇りを持とうぜ -- 2010-10-17 12 02 39 何このビキッと来るテーマパークw 誰得ww -- 2010-09-30 06 47 33 こういう解釈もいいね。 俺は原罪が好きだけど -- 2010-07-26 00 58 16 モデルが腋巫女とか神様とか妖怪とかだしな。 -- 2010-07-09 06 00 26 うまくいかないよね、どうも。 -- 2010-06-08 22 31 29